TOIMAPが明らかにしたトイレサポートの二極化
近年、観光業が盛り上がる中で、公共トイレの利用についてのニーズは多様化しています。株式会社KICKsが運営するトイレマップ「TOIMAP」の最新分析によると、外国人観光客と国内ユーザーでは、求めるトイレの条件に決定的な違いが見えてきました。この問題はただの便利さの話だけでなく、文化的背景や身体的ニーズに根ざした普遍的な課題です。
文化的ニーズの断絶
TOIMAPが2025年8月から12月にかけて収集したデータによれば、英語を使用する外国人ユーザーは「洋式トイレ」を求める傾向が強いことが分かりました。一方で、日本語を使用する国内ユーザーは「バリアフリー」機能、例えば「車椅子」や「オストメイト」に関心を示す割合が高いという結果が得られました。この現象は、文化的な不安や必要性からきているものであると言えるでしょう。特に、多くの外国人が和式トイレに対して漠然とした忌避感を抱いていることが背景にあると考えられます。
例えば、英語ユーザーの61%が「女性用」や「洋式」を検索する中で、バリアフリーに関してはわずか5%というデータは、明らかに異なるトイレ使用の背景を物語っています。これは、外国人にとって「使い方が分からない」「清潔でないのではないか」という不安が先立っているためです。
一方、日本語ユーザーにおいては、約38%がバリアフリーに関連する情報を検索しています。この中には、英語ユーザーが全く触れなかったオストメイト向けのニーズも含まれており、外出時の生活ラインとしてのトイレの重要性が浮き彫りになっています。
多言語対応の効果
TOIMAPは2025年11月に多言語化を実施しました。新たに11言語への対応を目指し、その結果、英語以外の言語でもアクセスが増加しています。このことは、単にマップ利用にとどまらず、トイレの使い方に関する情報の閲覧にもつながっています。特に、異文化のトイレマナーを学ぶために、外国人観光客が積極的に情報を求めている様子が伺えます。
今後の展望と社会的意義
TOIMAPは、得られたデータを自治体に提供することで、地域のバリアフリー設備の向上や観光地における洋式トイレの必要性を指摘し、効果的な設備投資を提案しています。このプロセスは、EBPM(Evidence-Based Policy Making)と呼ばれ、データに基づいた政策立案を通じてトイレに関する不安を解消します。国籍や身体的状態に応じたニーズに対応することで、誰もが安心して利用できるトイレ環境の実現を目指しているのです。
株式会社KICKsの代表取締役である山本健人氏は、「観光客の利便性」と「バリアフリー支援」の両立を目指して、この取り組みを進めていると語っています。トイレニーズは一様ではないという認識のもと、今後もこの問題に対処していくことが求められています。
TOIMAPは、単なるトイレマップを超え、社会の課題を解決するための重要なツールとして進化しています。私たちの身近にあるトイレの情報を得ることで、幸福な外出を実現する手助けとなるでしょう。