岡山大学が明らかにしたコロナ後遺症の通院実態、女性患者が特に長期化

コロナ後遺症患者の長期通院の実態

岡山に位置する国立大学法人岡山大学は、コロナ後遺症に関する重要な研究を発表しました。この研究は、同大学病院のコロナ・アフターケア外来を受診した患者の通院状況に焦点を当てています。

最新の調査結果によると、コロナ後遺症外来を訪れた患者のうち、52.2%が初めての診察から、なんと180日以上も通院を続ける必要があることが明らかになりました。これは、長期的な症状に苦しむ患者が多く存在することを示唆しています。

各症状の性別による違い

興味深いのは、長期通院が必要な患者の性別分布です。女性患者の割合が59.4%と高く、特に女性に多く見られる症状があることも分かりました。具体的には、女性は倦怠感や睡眠障害、記憶障害、しびれといった多くの症状に悩まされています。一方、男性では倦怠感や頭痛が主な症状です。このように性別によって現れる症状に違いがあることは、今後の治療方針や研究の参考になるでしょう。

また、長期通院を要する患者では、初診時に示される身体的・精神的疲労や生活の質、抑うつのスコアがいずれも重症であることが確認されました。この結果は、コロナ後遺症の影響が単なる身体の不調だけに留まらず、精神的な健康にも悪影響を及ぼしていることを示しています。これは、より専門的な治療や支援が求められる状況です。

研究の背景と重要性

この研究は、岡山大学病院の櫻田泰江医員や大塚文男教授といった専門家の協力によって行われました。研究者たちは、患者一人一人への理解を深め、今後の治療法の発展を目指しています。櫻田医員は、今回の調査の結果を受けて、女性患者への理解と共感の重要性を強調し、今後も研究を続けていくことを強く訴えています。

一方、大塚教授は、コロナ感染後の長期間にわたる症状が、やはり多くの人々に影響を与える可能性があることを指摘し、感染対策を継続する必要性を訴えました。これは、コロナが過ぎ去った今もなお注意が必要であるという警鐘といえるでしょう。

研究成果の発表

この最新の研究成果は、2025年7月11日に国際的な学術雑誌「Journal of Clinical Medicine」に発表され、その後の2025年7月30日に岡山大学から幅広く公開されました。このように、岡山大学はコロナ後遺症に関する重要な研究を通じて、地域社会や国際的な理解を深める貢献を果たしています。

今後の展望

この研究を受けて、岡山大学は今後もコロナ後遺症に関する研究を更に進め、より多くの患者に適切な医療を提供することを目指しています。この報告を通じて、長期間にわたり苦しむ患者への理解と支援の必要性が強調され、新たな治療法の開発につながることが期待されています。私たち一人一人が、コロナ後遺症についての理解を深め、支え合う社会の構築に貢献できる日を願いましょう。