町工場が外国人技能者を育成した成功事例に迫る
日本の製造業は現在、若年層の労働力不足という深刻な課題に直面しています。兵庫県姫路市に位置する株式会社山根鉄工所では、そんな人材不足の解消を目指し、外国人の採用に挑戦しました。今回はその成果と過程を深掘りします。
小規模町工場の現実
山根鉄工所は、昭和45年から続く機械加工業を手がける会社です。設立以来、家族経営を維持しながらも、技術力の高いオペレーター集団を形成してきました。しかし、最近では求人を出しても日本人からの応募が少なく、職場の人手不足が顕在化していました。ミスマッチによる早期離職も多く、もはや正社員を採用することが困難な状況に陥っていたのです。
ここで出会ったのが、外国人求人掲載サービス「ヨロワーク」。このサービスを通じて、新たな人材獲得のチャンスが開かれました。
外国人採用の始まり
「ヨロワーク」に掲載すると、意外なことに大量の応募が届きました。中でも最も印象に残ったのが、アルバニア人男性です。彼は日本人と結婚し、地元に居住しているため、日本語がほとんど話せなくても、一定の英語でコミュニケーションが取れることが大きなポイントでした。前職ではコンピュータ関連の仕事をしていたため、現場での仕事への不安もありましたが、彼の『技術を身につけたい』という熱意が彼を選ぶ決め手となりました。
成長の過程
入社してからの彼は、入社直後から意欲的に学び、短期間で機械オペレーターとしてのスキルを習得しました。普通なら時間がかかる機械操作も、2か月ほどで特定の機械を任されるまでになりました。もちろん、最初は近くでしっかりとサポートし、機械の操作やプログラミングについて指導を行いましたが、本人の成長は予想を超えるものでした。今では、あちらから『ここをこうしたい』と自ら提案するまでになっています。その姿は、日本人社員と同じように、チームの一員として活躍する彼の姿です。
働きやすい環境づくり
彼はイスラム教徒であり、お祈りの時間を必要とすると申し出ました。山根鉄工所では、宗教への配慮から、そのためのスペースを用意し、仕事の合間にお祈りができるようにしました。これは労働環境の多様性を尊重し、彼自身が安心して働ける大切な条件となっています。今では、彼もチームの一員として、仲間たちと共に生産に貢献しているのです。
期待以上の成果
当初は期待していなかったものの、彼のような人材がきてくれることで、山根鉄工所の生産性は大きく向上しました。さらにもう一人のベトナム人の採用も決まり、外国人リーダーを目指す姿が見えてきます。これを機に、山根鉄工所はさらなる発展を期待しています。
まとめ
外国人採用の成功は、山根鉄工所の未来を明るく照らす一光です。人材不足に苦しむ製造業界において、こうした外国人の働き手は、希望の象徴となるでしょう。山根鉄工所の事例を通じて、企業の多様化と労働力の確保の重要性が強調されます。これからも、外国人採用の取り組みが広がることが期待されます。