東洋インキの構造色が美術界に新たな風を吹き込む
最近、Artienceグループの一員である東洋インキ株式会社の革新的なテクノロジーが、第120回太平洋展入選作品に使用されました。画家山崎清子氏の絵画「薩摩鶏(総黒)」において、構造色インキがどう活用されたのか、そしてその影響について探ります。
構造色インキの特徴
東洋インキが開発した構造色インキは、従来の顔料や染料を使用せず、微粒子が3次元的に配置されたコロイド結晶の特性を利用して発色する仕組みです。このインキの最大の特徴は、鮮やかに色が発色し、見る角度によって色合いが変わることです。これにより、従来の画材では表現できない独自の美しさを創り出すことが可能になります。
山崎氏の作品「薩摩鶏(総黒)」では、この構造色インキで施された布地をベースに、アクリルや油絵の具での着彩が施されています。これにより、薩摩鶏の美しい尾羽や、空に浮かぶ雲の表現が生き生きと描かれています。
入選作品の展示情報
作品は、9月2日から7日まで千葉県立美術館(千葉市)で開催される「太平洋美術会千葉支部展」にて展覧されます。この展示は、現代的な技術と伝統的な技法が融合した新しい形のアート体験を提供します。
山崎清子氏の想い
山崎氏は、今回の作品に構造色シートを使用する機会を得られたことに感謝しています。彼女自身、薩摩鶏に対する愛着から作品を制作しており、その背景には深いストーリーがあります。実は、彼女がこのテーマに興味を持つきっかけは、薩摩鶏を描いた大きな油絵であったとのことです。その薩摩鶏の品評会で出会った「総黒」という種類に魅了されたと語っています。
この薩摩鶏は、全身が黒色ですが、角度によって色合いが劇的に変化することで知られています。彼女は、その美しさをどうにか作品に表現できないかと模索しており、構造色シートがその解決策になると確信しました。
構造色シートの魅力
山崎氏が使用した構造色シートは、通常の絵画に比べて見る角度によって色が変わる特性を持っています。この機能により、観客が動くことで色が変化する不思議な体験を提供し、鑑賞者の興味を引く効果があります。彼女はこの技術を通じて、薩摩鶏に対する興味を広めることができるのではと願っています。
薩摩鶏の現状と未来
薩摩鶏は長い歴史を持つ日本の伝統的な鶏ですが、近年では養育者の高齢化に伴って個体数が減少しているという問題があります。山崎氏は、このような状況に対して現代の技術を取り入れたアートでのアプローチが、鑑賞者に興味を持ってもらうきっかけになればと期待しています。彼女の作品は、もしかしたら薩摩鶏を守るための架け橋となるかもしれません。
まとめ
東洋インキの構造色インキは、アートの世界に新たな可能性をもたらしました。山崎清子氏とのコラボレーションにより、革新的な作品が誕生しています。美術館での展示を通じて、観客の皆さんがこの新しい表現方法に触れ、きっと驚きと感動を味わっていただけることでしょう。これからも、東洋インキの活動に目が離せません。