角田光代の新たな創作世界『神さまショッピング』
2025年9月25日、現代文学の担い手として知られる角田光代さんの新刊『神さまショッピング』が発売されます。本作は、彼女が2025年春に第59回吉川英治文学賞を受賞した『方舟を燃やす』と共通するテーマ「信じること」を扱っており、多彩な登場人物が織り成す8つの物語から構成されています。
願いを叶える神さま探し
小説は、それぞれのキャラクターが「私だけの神さま」を求めて旅する様子を描写しています。美津紀は、誰にも内緒でスリランカに向かい、「善い願いも悪い願いも叶えてくれる神さま」に祈ります。彼女の心の奥底には、本当に叶えたい願いが潜んでおり、その内容は誰にも明かすことができない秘密です。
一方、鶴子は強力な神の力が宿るとされる京都の神社を訪ね、あの人との縁が切れれば何でも失っても良いと決意しています。彼女の思いは切実で、神への願いは切なるものであることが伝わります。
また、吉乃は、思い悩んで各地の寺院や仏閣を巡り、最終的にパリの奇跡の教会に辿り着きます。彼女がそこに訪れた理由は、他の登場人物同様、誰かに背中を押してもらいたいという願いです。
街と神々の風景
物語の舞台は、神楽坂やミャンマー、スリランカ、雑司ヶ谷、レパルスベイ、ガンジス川と多岐に渡ります。それぞれの土地には独自の文化や神話が息づき、キャラクターたちの願いがどのように叶っていくのか、そして彼らの旅路はどのような結果をもたらすのかが描かれています。
この短編集は、今の時代において、多くの人が自分だけの「神さま」を求めている様子を反映しています。誰もが何かにすがりたくなるこの時代において、本書は人々の思いを凛とした絵画のように美しく映し出しています。
装画と書籍情報
本書の装画を手がけたのはKAORU SATO(vision track)で、鮮やかな色彩が物語の世界観を巧みに彩っています。読者はページをめくるごとに、登場人物たちの心情に触れ、彼らの願いに共感することでしょう。
『神さまショッピング』は、角田光代ファンはもちろん、新たに読書を始めたい方にもおすすめの作品となることでしょう。魅力的な物語の中で、自分自身の願いを見つめ直すきっかけにもなりそうです。
神奈川県出身。1990年にデビューし、数々の賞を受賞。新刊『神さまショッピング』は彼女の新たな挑戦として、多くの読者に受け入れられることを期待しています。
- タイトル: 神さまショッピング
- 著者名: 角田光代
- 発売日: 2025年9月2日
- 定価: (税込)1760円
- ISBN: 978-4104346097
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