春の風物詩、飛騨古川の鯉の帰還とその魅力
岐阜県飛騨市の「瀬戸川」には、毎年春になると約1,000匹の鯉が帰ってくる光景があります。この伝統的なイベントは春と秋の風物詩として知られ、地域住民や観光客にとっても特別な意味を持っています。
瀬戸川の歴史
瀬戸川は、400年以上前に農業用水を確保するために作られました。当初は新田開発のための重要な水源となっており、長い年月を経て地域の人々に親しまれています。しかし、戦後にはゴミや生活排水により川が汚れ、地域住民はその美化を願うようになりました。そこで半世紀前、鯉が放流されることで川の環境が改善され、現在の特色ある風景が形作られてきました。
鯉の引越しイベント
毎年11月に鯉は近くの天神池に移され、そして4月に元の瀬戸川に戻ります。この季節の変わり目を祝うために、飛騨市観光協会や地元の中学生たち、ボランティアの方々が早朝から集まります。
引越し作業が始まると、胴長を履いた彼らが古川小学校裏の増島城跡のお堀に入ります。網を持って鯉をすくい上げ、軽トラックの荷台に水を張って乗せ、そのまま瀬戸川へと運びます。この作業は手間がかかりますが、住み慣れた場所に戻る鯉たちの姿を見ることは、地域の皆にとって大きな喜びです。
特に、体長が80センチを超え、重さが10キロを越える大物の鯉をすくい上げる瞬間は、参加者にとって強い「気合い」が必要です。このイベントは、川に込められた地域の温かさが伝わってきます。
エサやり体験
さらに、瀬戸川では5月から11月までの間、川沿いにエサ箱が設置され、訪れた人々が鯉にエサを与えることもできます。100円という手軽な料金で行えるこの体験は、子供から大人まで楽しむことができ、鯉たちとのふれあいを通じて笑顔をもたらしてくれます。
飛騨市の魅力
飛騨市は人口約22,000人の小さな市ですが、周囲を北アルプスに囲まれ、94%を森林が占める自然豊かな地域です。また、ユネスコの無形文化遺産に認定された古川祭や、ノーベル物理学賞を受賞する際の大きな役割を果たした「スーパーカミオカンデ」があることでも知られています。
近年では、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地としても注目され、自然と文化の両方が融合する個性あふれる地域資源が豊富です。さらに、飛騨市の公式サイトでは、観光情報や移住に関する情報が発信されています。
最後に
春の訪れと共に、飛騨古川の鯉たちが帰るこの伝統行事は、地域の人々にとって大切な文化として受け継がれています。自然や歴史を大切にする飛騨市を訪れて、鯉たちの壮大な帰還を見届けてみてはいかがでしょうか。