唯一無二の存在「ファントム・ダンテル」が示すレースの芸術性

2025年7月3日、ウエスト・サセックスのグッドウッドで、ロールス・ロイスが世界にたった一台の「ファントム・ダンテル」を発表しました。この特別な車は、一人の顧客が大切なご家族へ贈るために製作されたもので、その特徴は手作業によるクチュールレースから着想を得たオリジナルデザインにあります。

クチュールレースにインスパイアされたデザイン

ファントム・ダンテルは、豪華さと芸術性が融合した一台といえるでしょう。洗練されたインスピレーションをもとに、各部に施された刺繍は、特に目を引きます。16万以上のステッチを駆使し、8つの異なる技法で構成された美しいギャラリーが、車内外を優雅に飾ります。インテリアでは、花のコーチライン・モチーフが施され、ローズゴールドで仕上げられたスピリット・オブ・エクスタシーが存在感を放っています。

ロールス・ロイス・モーター・カーズのプライベート・オフィス・ドバイのデザイナー、ミシェル・ラスビー氏は、「私たちは常に、すべてのコミッションにおいてインスピレーションが存在することをお伝えしています」と語ります。ファントム・ダンテルは、そのコンセプトを具現化した存在であり、オートクチュールの美しさを体現しています。

エレガントなインテリアと個性を引き立てる装飾

ファントム・ダンテルのインテリアは、豪華なレザーで整えられており、インテリアスイートにはレースに基づいた美しい刺繍が施されています。フロントのフェイシア全体に広がるギャラリーは、特別に設計されたもので、フローラルパターンが緻密に描かれています。サテンステッチやトリプルランステッチを駆使することで、繊細で美しい仕上がりが登場します。

リアシートにはウォーターフォール・セクションが設けられ、そこにはさらに美しい刺繍が施されています。例えば、リアシートのデザインには約7万針を使用したディテールが観られ、ローズゴールドで仕上げられたスピーカーグリルが華やかさを増しています。

ビスポークの外装仕上げとオーダーの特別感

エクステリアに目を向けると、ボディ下部はクリスタルのアークティック・ホワイトで仕上げられ、上部にはクリスタルのパレ・ネマスカ・ドーンが施されています。ダブル・コーチラインはサンライズで手描きされ、これもまたインテリアのアートテーマと密接にリンクしています。22インチのディスク・ホイールは全面ポリッシュ仕上げが施され、ローズゴールドのエレメントがアクセントとなっています。

プライベートな体験と特別な一台の創造

ファントム・ダンテルは、ロールス・ロイスのプライベート・オフィス・ドバイを介して製作されたことにより、顧客にとって特別な体験を提供しています。このオフィスは、クライアントがビスポークデザイナーやエクスペリエンスマネージャーと直接交わりながら、その想いを具現化する場となっています。

このように、ファントム・ダンテルは単なる車両以上のものであり、顧客の個人的なストーリーと情熱、そしてロールス・ロイスの技術とアートの融合です。ラグジュアリーでありながら、深い意味と芸術性を持つ一台として、多くの人々に記憶されることでしょう。ロールス・ロイス・モーター・カーズの職人たちが織りなすビスポークの世界は、まさしく特別な体験そのものです。