2025年不動産市場展望:アットホーム調査から見る地域別の景況感
不動産情報サービスのアットホーム株式会社による最新の景況感調査が発表されました。この調査では、全国13都道府県の居住用不動産流通市場についての動向が分析され、今後の市場に対する洞察が得られました。調査は2014年から四半期ごとに実施されており、今回で46回目を迎えます。
賃貸市場の状況
アットホームの調査によると、賃貸市場の業況DI(景況判断指数)では、全14エリア中7エリアで前年同時期と比較してプラスとなっています。特に東京23区やその周辺地域では、「予算より高い物件でも成約する」という傾向が見られ、他の地域に比べて需要の強さが際立っています。ここでは、経済的余裕のある単身者やファミリーが多く、賃貸需要を支える要因となっているようです。
ただし、成約賃料DIは上昇する一方で、成約件数DIは減少傾向にあるという矛盾した状況も浮き彫りになっています。これは、家賃の急激な上昇によって成約件数が影響を受けていることを示唆しています。来期においては、物価や家賃のさらなる上昇、及び猛暑による引越し控えの懸念もあり、今後の動向に不安が残るところです。
売買市場の厳しい現実
売買市場に目を向けると、全体的に厳しい状況が続いていることが明らかになりました。10エリアで前期と比較して上昇する一方で、前年同期比では8エリアでマイナスという現実。特に首都圏の市場は実需層にとって難しい環境が続いていて、市場の活性化が待たれるところです。
商業用不動産の動向
貸店舗および事務所市場についても、東京23区とそれ以外の13エリアでは明らかな差が見られます。非東京23区では、貸店舗に関する予算縮小の傾向が顕著で、ビジネス環境の厳しさが反映されています。これは、商業用不動産市場は東京中心に依存していることを示唆しており、他地域の支援策が求められる状況にあると言えるでしょう。
今後の見通し
アットホームラボのデータマーケティング部長、磐前淳子氏は、東京の賃貸市場が高いDIを維持している理由を分析しています。「東京23区では家賃の上昇に見合うだけの需要が存在している」と彼女は述べ、この需要が市場を支えている一因であると指摘しています。将来的には物価の上昇や異常気象の影響を受け、慎重な動きが求められることが予想されます。
本調査の詳細な結果については、アットホームの公式サイトでPDFをダウンロードすることができます。今後も不動産市場の動向には注視していきたいところです。