サイレントボイスとピクシーダストが挑む雑談の可視化
近年、多様性を重視する社会の中で、コミュニケーションの重要性が増しています。特に、聴覚に障がいを持つ人々との円滑なコミュニケーションが望まれる中、株式会社サイレントボイスとピクシーダストテクノロジーズが新たな取り組みを開始しました。彼らは、音声可視化デバイス「VUEVO(ビューボ)」を用いて、職場内の雑談や軽い会話を見える化し、誰もが参加できる環境を作ろうとしています。
取り組みの背景
聴覚障がい者と聴者が共に働く環境では、日常的に発生する雑談に加わることが難しいという課題があります。例えば、会議中に話の内容が理解できず、意思疎通が取れないことから、誤解を招くことも少なくありません。これにより、孤立感や心理的な安全性の低下が引き起こされる恐れがあります。
サイレントボイスは、これまで長年にわたり、こうした問題に向き合い、共に働く社会の実現を目指してきました。ピクシーダストテクノロジーズの開発した「VUEVO」を使用することで、リアルタイムで音声情報を可視化し、コミュニケーションの新たな形を提案します。
実証実験の概要
このプロジェクトは2025年4月に開始予定で、主に以下の3つの取り組みが行われます。
1.
雑談の見える化実験: VUEVOを使用し、雑談や自然な会話を可視化する実験を行います。その結果は定性的および定量的に検証し、コミュニティ参加意識の変化を観察します。
2.
成果の公開: 実証実験の結果を社外に公開し、さらなる働きやすい環境づくりの知見として共有します。
3.
企業への導入支援: サイレントボイスがVUEVOの代理店として、ろう難聴者が多くいる部署への導入支援を行い、実際の活用方法を指南します。
VUEVOの特性
「VUEVO」はピクシーダストテクノロジーズによって開発された、AI技術を利用した多言語コミュニケーションプラットフォームです。特に、全方向から音声を収集する独自のワイヤレスマイクを搭載し、発話者の方向を明確にする機能があります。これにより、複数の人が同時に話しても、誰が何を話しているのかをリアルタイムで文字化して表示できます。
さらに、24種類の言語に対応したリアルタイム翻訳機能や、AIによる自動要約など、さまざまなシーンでの情報発信をサポートします。これにより、コミュニケーションの壁が低くなり、より多くの人々が容易に情報を共有できるようになります。
今後の展望
今後、サイレントボイスとピクシーダストテクノロジーズは、実証実験から得られたデータをもとに、行政や企業との連携を強化し、より多くの職場においてこの「雑談の見える化」を広めていく予定です。特に、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)を意識した職場環境の設計が求められる中、偶発的なコミュニケーションの価値はますます増しています。
このプロジェクトを通じて、誰もが安心してコミュニケーションに参加できる職場環境の実現を目指すサイレントボイスとピクシーダストテクノロジーズの取り組みは、障がい者が社会で活躍するための新しい道を切り拓くものと期待されています。取材や現場見学も受け付けているため、関心のある方はぜひお問い合わせください。