木材の力で実現する、全球初の110m超高層純木造ビル計画

株式会社シェルターが挑む、世界最高高さの純木造ビル

山形県山形市を拠点とする株式会社シェルターは、画期的な建築プロジェクトを発表しました。その内容は、地上24階建て、世界最高高さ110mの純木造超高層ビルのシミュレーションです。このプロジェクトは、木造建築の可能性を広げ、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。

シミュレーションモデルの特長

このプロジェクトのモデルは、東京都内で建設を予定しており、事務所と集合住宅が複合した形式です。使用されるのは国産のカラマツと、同社が開発した木質耐火部材「COOL WOOD」です。

主要な構造部分には、剛性の高いカラマツ集成材が採用され、最下層には1,400mmから2,000mm角の柱と、500mm×1,000mmの梁が配置されています。さらに、接合部には高剛性接合技術「GIR接合」を用い、地震への強さが確保されています。また、地震時には鋼棒が塑性変形することで、エネルギーを吸収する仕組みが整っています。

環境への影響

近年の気候変動対策が重要視される中、同プロジェクトは非常に意義深いものとなります。木造と鉄骨造の排出量を比較したところ、木造では約8,700tのCO2排出削減が可能であることが判明しました。この量は、自動車が約75万km走行する際の排出量に匹敵します。また、建物が生成する炭素貯蔵量は18,600tに達し、これはスギ36,880本分の二酸化炭素を蓄積するのと同等です。この成果は、木造建築がどのように気候変動対策に貢献できるかを示す明確な証拠となります。

木造都市の未来

1974年の設立以来、株式会社シェルターは木造建築の革新的な技術を追求してきました。今回のシミュレーションモデルは、これまでの技術と知識の集大成であり、「木造都市」の現実化に向けた重要なステップとなります。同社は今後も、環境に優しい建築の価値と可能性を掲げていく意向です。

建物のスペック

- 建設地: 東京都内
- 用途: 1〜4階事務所、5〜24階集合住宅
- 構造: 純木造
- 高さ: 110m
- 階数: 地上24階建て
- 延床面積: 44,000㎡
- 階高: 4,500mm〜5,500mm
- 耐火性能: COOL WOODによる1、1.5、2、2.5、3時間耐火仕様
- 木材使用量: 23,385㎥

技術的特長

1. 接合金物工法「KES構法」: 日本初の接合金物工法を採用しており、柱や梁の接合部を緊結することで耐震性能を向上。
2. 木質耐火部材「COOL WOOD」: 国土交通大臣認定を取得し、高い耐火性能を確保。

この未来型の木造建築は、今後の日本の都市風景を大きく変える可能性を秘めています。木材の特性を最大限に活かしたこの高層ビルは、持続可能な未来を切り開く鍵となるかもしれません。