触感測定の革新
2021-05-19 10:00:08

触感測定の新時代を迎える「QUANTITEXTURE」とは?

触感測定の新時代を迎える「QUANTITEXTURE」



触感は日常生活において非常に重要な要素ですが、視覚や聴覚と比較して、その評価は長らく難しいものでした。この度、慶應義塾大学とカトーテック株式会社が共同開発した「QUANTITEXTURE」は、その触感を定量化する新しいアルゴリズムとして注目されています。特に、樹脂素材において触感評価が可能となり、今後の製品開発に大きな影響を及ぼすと期待されています。

開発の背景と課題



触感の評価は、主観的な要素が多く含まれるため、定量化が難しいとされてきました。物性値をもとにした評価が一般的でしたが、樹脂のような硬い素材では適切な評価が難しく、特に自動車内装材やスマートフォンのカバーのような製品では課題が残っていました。

このニーズに応える形で開発された「QUANTITEXTURE」は、指の神経情報を活用し、触感を数値化する新手法を採用しています。この方法により、触覚の繊細な部分までデータ化することが実現しました。

QUANTITEXTUREの特徴



「QUANTITEXTURE」は、触れた物の「なめらかさ」「すべりやすさ」「ざらつき」を計測します。その測定には、指先に存在する4つの機械受容器(マイスナー小体、メルケル触盤、パチニ小体、ルフィニ終末)が用いられます。

この技術により、物体の表面を単に評価するのではなく、人間の触感に基づいた解析が可能です。具体的には、触感を生じさせる振動情報を数値として抽出します。これにより、これまで把握しきれなかった樹脂素材の触感評価が実現します。

触感の知覚メカニズム



私たちが無意識に触り心地を感じる際、触覚は振動情報に基づいて判断されています。「QUANTITEXTURE」では、この振動データを解析し、人間が実際に感じる触感と同じ数値を出すことが可能です。

例えば、紙を指先で触れるとき、そのエッジを感じることができるのは機械受容器が振動情報を知覚しているからです。このメカニズムを理解することで、「QUANTITEXTURE」は誤差の少ない触感測定を実現しています。

利用シーンと未来への展望



この技術は、自動車内装部品、住宅材料、スマートフォンカバーなど、様々な樹脂の触感評価に役立ちます。触感の定量化により、製品の品質管理や新しい製品開発における重要なツールになるでしょう。慶應義塾大学の竹村教授は、「触感の定量化アルゴリズムが、インターネットを介した触感情報のやり取りを可能にし、次の時代を迎える基盤技術になる」と期待を寄せています。

カトーテック株式会社の歩み



カトーテックは1961年に設立された会社で、触感測定の試験機や関連する装置を製造・販売してきました。この新たな技術は、同社の長年の研究と技術力の結晶であり、さらに多様な分野への応用が期待されています。触感測定は、今後の製品開発や品質管理において欠かせない要素となるでしょう。

この革新的な「QUANTITEXTURE」が、これからの触感評価のスタンダードとなり、さらなるテクノロジーの進化を促すことが期待されます。

会社情報

会社名
カトーテック株式会社
住所
京都府京都市南区西九条唐戸町26
電話番号
075-693-1660

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