遊びの境界を越えた遊具プロジェクト
株式会社ジャクエツが誇る「RESILIENCE PLAYGROUNDプロジェクト」が、2024年度グッドデザイン賞で特に優れたデザインとして金賞を受賞しました。このプロジェクトは、障がいの有無に関わらずすべての子どもが遊ぶことのできる遊具を開発し、遊びの場を融合させることを目指しています。
背景
日本には約2万人の医療的ケア児がいるとされており、彼らの多くは外で友達と遊ぶ機会が非常に限られています。実際に、調査によると外出や旅行ができている家族は17.2%に過ぎず、これは子どもたちにとっての遊びを制限する要因となっています。医療的ケアを受ける子どもたちの中には、社会的なつながりが乏しく、笑顔が少ないという現状があります。
これらの課題を解決するために、ジャクエツは遊具に新たな価値を加えることで、遊びを通じた交流を促進しようとしました。医療的ケア児が自分らしく遊べる環境を整え、地域の遊び場へのアクセスを向上させることを目指しています。
プロジェクトの軸とデザイン
「最も重度な障がいを持つ子どもから健常な子どもまでを対象にする」というプロジェクトの基本方針に基づいて、ジャクエツは「遊びたくても遊べない」という状況を減らす努力をしています。開発された遊具は、寝たきりの子どもでも自身の力を使って揺れを体験できるように設計されており、色や素材においても感覚刺激を重視しています。
さらに、この遊具は健常な子どもにも楽しんでもらえる設計がなされており、障がい児専用とならないように工夫されています。結果として、幼稚園、公園、商業施設などの多様な環境において122基以上の遊具が設置され、その効果が見え始めています。
監修と検証
遊具の設計においては、医療的ケア児に対する支援を行う一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.の医師である紅谷浩之氏が監修を担当しました。検証作業には、健常児や障がい児、ケアスタッフ、遊具デザイナーなど、さまざまな立場の人々が参加し、意見を交わして進めています。
紅谷氏は、在宅医療を専門に行う医師として、過去に数多くの医療的ケア児に関連するプロジェクトを展開してきました。医療的ケア児の活動拠点「オレンジキッズケアラボ」を立ち上げ、地域との連携を深めることで、より良い支援環境を目指しています。
未来に向けた展望
この遊具プロジェクトの成功は、医療的ケア児を抱える保護者や保育施設にとっても大きな後押しとなっています。今後、地域社会全体がともに子どもたちを支え、遊びを通じて心豊かに成長できる社会の実現を目指していくことでしょう。
株式会社ジャクエツは、「未来は、あそびの中に。」というスローガンのもと、今後も新たな遊びの価値を創造していくことを誓っています。