ジェイテクトが花園工場に新たな水素プラントを導入
株式会社ジェイテクトが、愛知県岡崎市に位置する花園工場に「CNプラント」を新設することを発表しました。この新設備は、カーボンニュートラルを実現するための重要な一歩として位置付けられています。
CNプラントの概要
CNプラントは、再生可能エネルギーを用いて水素を生成・貯蔵・供給するための施設です。太陽光発電を駆使し、水電解によってグリーン水素を作り出します。生成された水素はガスボンベに充填され、余剰電力は蓄電池に保存されます。工場内には水素供給用の配管設備も整備され、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」という一連のプロセスが工場内で完結できる体制が構築されています。このことにより、外部から水素を輸送する必要がなく、地産地消が実現されます。
環境への貢献
ジェイテクトは「環境チャレンジ2050」という中長期的な環境戦略を掲げ、全社一丸となってカーボンニュートラルの達成を目指しています。特に自社生産活動に関連するCO₂排出をさらに削減し、2035年にはカーボンニュートラルを実現する目標を持っています。CNプラントの稼働により、年間56トンのCO₂削減が見込まれます。
水素バーナー式アルミ溶解保持炉の導入
花園工場では、更に水素を燃料とする「水素バーナー式アルミ溶解保持炉」も設置される予定です。この炉では、アルミダイカストの工程で使用され、生成されたグリーン水素を直接供給する仕組みです。これにより、アルミの溶解工程におけるCO₂排出を大幅に削減することが期待されます。
この溶解保持炉は、2024年7月から2025年2月にかけて実証実験が行われます。実験では、素材の溶解能力や品質が評価され、従来の方法と同等の品質を保つことが確認されています。2026年夏頃には、この新しい技術が本格的に稼働する予定です。
水素利活用に向けた取り組み
ジェイテクトは水素の利活用に対しても積極的に取り組んでいます。具体的には、2024年6月に水素技術の実証施設「CNラボ」を本社敷地内に設置しました。この施設では太陽光発電から得た電力を用いて水素を生成し、その監視・制御を行うエネルギーマネジメントシステムの実証も行われています。2025年には、自社で生成した水素を使用した調理器の導入も予定されており、製造工程外でも持続可能な技術が活用される見込みです。
未来への展望
今後の展望として、ジェイテクトは花園工場での水素地産地消モデルを確立した上で、他の工場にその技術を展開し、さらなるCO₂排出削減を図る計画です。2030年の環境行動計画に基づき、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ネイチャーポジティブ」の目標達成に向けて日々努力を重ねる所存です。
ジェイテクトの動きは、カーボンニュートラルの実現に向けた大きな一歩です。今後の進展にも注目が集まります。