家族に介護の負担をかけたくない84.6%の思いと医療機関の受診率の低さ
近年、日本の平均寿命が延びる中、「人生100年時代」という概念が積極的に議論されています。しかし、健康に関するさまざまな課題も浮かび上がっています。特に関心を集めるのが、ひざの健康です。セルソース株式会社が実施した調査によると、調査対象の84.6%が「家族に介護の迷惑をかけたくない」と考えている一方、74.4%は医療機関に受診していないという結果が明らかになりました。これは、生活者が自身の健康よりも、家族への影響を重視している現状を示しています。
受診しない理由とその背景
調査によると、40代以上の約半数がひざに不調を感じており、その中で医療機関を受診したのは25.6%に過ぎません。このうち、未受診の理由として「病院に行くほどのことではない」との意見が35.6%を占め、「行っても治らない」との諦めが27.0%、「年のせいだから」との思いが24.2%となっています。このような考え方は、ひざの不調を加齢によるものと捉える意識の強さを反映しています。
一方で、81.8%が将来の悪化を不安視しており、心の中には“このままでいいのか”という葛藤が存在します。しかし、医療機関への受診行動が後回しになっている背景には、医療情報の不足や、ひざの健康についての誤解が影響しています。ヒザの健康を維持するためには、もっと多くの情報が必要です。
治療選択肢の限界と認識の薄さ
医療機関で提示される治療選択肢は多岐にわたりますが、その中でも最も多かったのは鎮痛薬(57.4%)、次いでリハビリ(30.1%)、ヒアルロン酸注射(30.1%)でした。対照的に再生医療などの選択肢を提示された人はわずか2.7%に過ぎません。親しみを持たれつつある幹細胞治療については、意義を理解している人が13.5%にとどまるなど、治療法の認知度も低いことが分かります。この結果は、生活者が選択すべき治療方法について十分な情報を得られていないことを示しています。
医療への意欲と家族の介護負担
興味深いのは、86.5%の生活者が「選択肢を公平に説明してくれる医師」を求めているという点です。また、約78.2%が「前向きに検討したい」と回答しており、経済的・情報的なハードルがあっても、信頼できる医師との対話を重視していることが分かります。医療機関との信頼関係を築くことが、ひざの痛みと向き合う助けにもつながるかもしれません。
特に、ひざの痛みによって「最も嫌だと感じること」として家族への介護負担が最上位に挙げられた結果は、さまざまな示唆を与えます。生活者は、自分自身の不調よりも家族への影響を懸念しており、この心情が受診行動の減少を招いているのかもしれません。対話が行われていないところにこそ、医療との接点や選択肢の広がりがあります。
まとめ
人生100年時代を迎えた今、ひざの健康はますます重要なテーマと言えるでしょう。家族に迷惑をかけたくないと思う一方で、医療へのアクセスが希薄である現状が浮き彫りになりました。今後は、医療機関と生活者との間に透明な対話を生み出し、適切な情報を提供することによって、多くの生活者が選択肢を持てるようになることが求められます。さらには、「自分の足で動ける」ことが健康で元気に生きるための大前提であるという意識が広まることが期待されます。