住まい選びの新たなトレンド：安全と省エネを重視する賃貸住宅への関心

2023年度に行われた賃貸契約者動向調査が発表され、不動産業界に新たな動きが見えてきました。この調査は、株式会社リクルートのSUUMOリサーチセンターによって実施され、全国規模で賃貸住宅への入居者の動向が明らかになりました。調査によると、最近の居住者の意識は防災や省エネといった要素に大きくシフトしていることがわかりました。

まず注目すべきは、魅力的な住宅に対する入居者の考え方です。「防災賃貸住宅」に対して35.1%の人が魅力を感じると答え、「ZEH賃貸住宅」も23.0%の支持を集めました。これは、自然災害や停電が多発する昨今、住まい選びにおいて安全性を重視する動きが強まっている表れと言えるでしょう。居住者の防災意識は明らかに高まっており、特にハザードマップを利用して住まいを選ぶ人は40.2%に達しました。これは、特に東北や首都圏、東海地方で顕著に見受けられます。

SUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長の池本洋一氏は、調査結果について語ります。彼は、近年の地震や水害への不安から、入居者が災害に対する備えを強く求めていることを指摘しています。特に、「防災賃貸住宅」では、備蓄倉庫や蓄電池といった災害対応の充実に対する期待が高まっています。また、住まい選びにハザードマップを利用する動きは、特に過去に大きな災害を経験した地域で顕著であり、今後のリスクを見越した賢い選択が行われていると考えられます。

さらに、気候変動への関心も高まっていることがわかります。住まい選びにおいて「ZEH賃貸住宅」が選ばれる理由として、光熱費の削減による経済的メリットに加え、災害時においても強いという意見が数多く寄せられています。特に、太陽光発電や蓄電池の導入によって、停電に対する備えもできるという点が評価されています。入居者の予算に優しいだけでなく、防災対策にも役立つ住宅が求められているのです。

この調査結果を踏まえると、不動産業界は今後、防災設備や省エネの面でさらに充実を図る必要があると言えます。賃貸住宅のオーナーにとっても、これらのニーズに応えることは重要であり、入居者または賃貸者にとって、安心・快適な住まいの確保は欠かせません。時代に合わせた住まいの価値を実現するために、業界全体での取り組みが期待されます。

この調査は、インターネットによるアンケート調査を通じて行われ、全国から幅広い年代の居住者が対象となりました。その結果、251,773サンプルのスクリーニング調査と3,997サンプルの本調査を経て、信頼性のあるデータが得られています。この調査から得られる教訓は、今後の住まい探しや賃貸市場において、ますます重要な指針となるでしょう。住まい選びについて考える際には、ぜひこの重要なデータに目を向けたいものです。