最近、複数の企業による分散型AIデータセンター(AI-DC)の共同運用に向けた合意が発表されました。電源開発株式会社(Jパワー)、株式会社日立製作所、シスコシステムズ合同会社、株式会社ビットメディア、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)、JR西日本光ネットワーク株式会社(JR西光ネットワーク)、名古屋鉄道株式会社などが連携し、データセンターのワークロードシフト(WLS)と広域オール光ネットワーク(APN)の構築に関する技術実証を共同で進めることになりました。
この新たな体制は、各社各々の技術力やノウハウを生かし、分散型・地方に根ざしたデータセンターを効率的に運用することを目的としています。また、これにより電力の安定化と効率化が期待されています。特に、JR各社および私鉄などの鉄道事業者が保有する未使用の光ファイバー回線を利用し、全国的なセキュアな自営APN網を構築します。
分散型データセンターにより、計算ニーズが高まる中でも電力需要のバランスをとることが可能になります。計算負荷を時間的または空間的に移動させるWLS技術を活用し、電力需給バランスの調整を図ることが目指されています。さらに、光ネットワーク技術の向上により、データセンター間の通信性能を確保しながら、低遅延・大容量通信を実現します。
これにより、地域に根ざした形でのAIデータ処理が実現し、地方分散型とデジタルインフラの高度化が進むことが期待されています。各社はそれぞれの役割に応じて、技術的な実証や運用モデルの検討を進めていくとしています。
背景
近年、生成AIに対する需要の高まりから、安全かつ信頼性の高いデータセンターの必要性が増加しています。重要社会インフラの提供を担うJパワーと日立は、AI用データセンターの建設と運用において連携しており、2050年に向けたカーボンニュートラルの実現を目指しています。
このプロジェクトでは、データセンターの運用において特に自然エネルギーの利用を促進し、脱炭素化を進めています。多様な電源の導入により、出力抑制問題を解決するためにも、分散型データセンターの運用モデルが求められています。各社の役割は明確に定義され、具体的なアクションプランが策定されています。
各社の役割
それぞれの企業は自身の強みを生かして、以下の役割を担うことが求められています:
- - Jパワー: WLSおよびAPNの技術管理。全体のコーディネーションを担当
- - 日立: DC内ネットワークの設計と構築
- - シスコ: ネットワークの設計・構成に関する事項を担当
- - ビットメディア: WLSシステム構築に関する技術的部分の管理
- - JR東日本、JR西光ネットワーク、名古屋鉄道: 各自が保有する光ファイバーを活用し、鉄道沿いの通信インフラを強化
このような取り組みを通じて、電力と情報通信を統合的に高める「ワット・ビット連携」を実現し、地域社会への貢献を目指していくとのことです。