東京都が推進する「未来の働き方」とは? - 第1回「未来の働き方推進フォーラム」レポート -
東京都は、多様な働き方を促進し、テクノロジーを活用した生産性の高い未来の働き方を推進するため、「東京の未来の働き方推進事業」をスタートさせました。その取り組みの一環として、2024年7月10日(水)に「未来の働き方推進フォーラム」が開催されました。
このフォーラムでは、タレント・国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏による基調講演、株式会社働きかた研究所代表取締役の平田未緒氏による一般講演、そして、エコアティア株式会社、社会福祉法人げんき、多摩冶金株式会社の3社によるパネルディスカッションが行われました。
モーリー・ロバートソン氏の基調講演:変化への対応と挑戦の重要性
モーリー・ロバートソン氏は、変化の激しい現代社会において、従来の働き方では通用しないことを力説しました。変化に柔軟に対応し、積極的に挑戦していくことの重要性を訴え、参加者に大きな衝撃を与えました。
「未来は凄まじい速さで押し寄せ、これから多様な働き方が求められる時代が来ます。これからは同一の社会の中で定年まで働いて、何もないというリスクフリーな環境はないと思います。若いうちに早めに冒険を重ねて、失敗する回数を増やしておくことが大切です。‘私は、どうしたいのか?’ これを改めて自問自答していくことで、自分の生き方や働き方に変革をもたらすことが出来るのです。それはチャンスでもあると思います。」
平田未緒氏の一般講演:対話と信頼に基づく働き方改革
平田未緒氏は、企業の働き方改革において、社員一人ひとりの意見を尊重し、信頼関係を築くことの重要性を強調しました。
「”相手の話をよく聞く”と同時に、一人ひとりが“考えて伝える”という相思相愛な対話の風土を作ることが重要です。これまではお互いに人として関係が薄く、信頼がないためちょっとしたことに反応的になりやすかった傾向にあります。しかし人としてフラットで互いを尊重し、人として認識することが、会社の利益を生み出す土台となり、働き方改革において大切な考え方です。特に“人間関係”と“何を目指す”のか。この2つが最も大事なことだと思っています。」
パネルディスカッション:未来の働き方を実現する企業事例
3社の企業代表は、それぞれの企業が実践する未来の働き方について具体的な事例を共有しました。
エコアティア株式会社 代表取締役 多澤 信城氏
「全員参加の月1回の定例会議をオンラインで実施し、ほぼ全ての案件の進捗を全員で共有して“見える化”しています。ミーティングの最後にどんなことでも構わないので一言話ができる機会を設けています。目の前に思いつくものでトライ&エラーを繰り返す、行き当たりばったり方式で働き方改革を進めた結果、全員経営という理念が生まれ、気づけばDX化に結び付く事ができました。」
社会福祉法人げんき 業務執行理事 伊藤 美佐氏
「多様な働き方、自分らしい働き方の推進のため、取得時間の制限がない短時間正職員制度を導入したり、ICT化の推進により合理化・効率化を積極的に推進しました。タブレットや社用スマホ、アプリの導入など、働き方の工夫を取り入れて、心身ともに健康と安心して働き続けられる現場環境を整えたことで、数々の賞を受賞させて頂き、業務効率も改善しました。」
多摩冶金株式会社 代表取締役副社長 山田 真輔氏
「100年企業をマイルストーンに置いた事業構想を行っております。企業理念が5つあるのですが、社員へ浸透しにくい課題が残りました。そこで企業理念を“我らの木”としてビジュアル化し、また、ロゴや社内を新しくブランディングを行い、採用も独自の“価値観採用”という1日一緒に過ごす体験方式をするなど、人材集めも工夫しています。」
東京都の未来の働き方推進事業
東京都は、企業の未来の働き方への取り組みを支援するため、以下の事業を行っています。
1.
「東京サステナブルワーク企業」登録制度
サステナブルな働き方に取り組む企業を登録し、ロゴ入りの登録証を発行することで、企業の取り組みを可視化し、促進します。
2.
「未来の働き方推進フォーラム」
企業が抱える課題や成功事例を共有し、多様な働き方の実現に向けた意識を高める場を提供します。
3.
専門家派遣
「東京サステナブルワーク企業」登録に向け、専門家(社会保険労務士)が企業に直接アドバイスを行います。
4.
未来の働き方コンサルティング
企業の課題やニーズに応じたデジタル技術の活用やツールの選定・導入について専門家(ITコーディネータ等)がサポートします。
5.
「Tokyo Future Work Award」
先進的な働き方を推進する企業を選出し、表彰することで、他の企業への模範となる事例を示します。
第2回「未来の働き方推進フォーラム」開催決定
第2回「未来の働き方推進フォーラム」は、令和6年9月13日(金)にオンラインライブ配信で開催されます。株式会社Voicy代表取締役 緒方 憲太郎氏による基調講演など、今後の働き方について考える貴重な機会です。
詳細については、東京都の未来の働き方推進事業のウェブサイトをご確認ください。
東京都の未来の働き方推進事業ウェブサイト
本フォーラムは、企業の未来への変革を促すための貴重な機会となりました。参加者は、講演やパネルディスカッションを通して、未来の働き方への理解を深め、自社の取り組みを再考する機会を得ました。
東京都は今後も、企業と連携し、多様な働き方の実現を推進していく予定です。