横隔膜ペースメーカの未来へ向けた一歩
2021年3月、神奈川県横浜市で開催された第33回日本内視鏡外科学会総会で、湘南藤沢徳洲会病院の院長髙力俊策先生が「NeuRx(ニューアールエックス)横隔膜ペーシングシステム」のデジタルポスター発表を行いました。この発表は国内初のものであり、横隔膜ペーシング技術が医学界でどのように進化しているかを示す重要なマイルストーンとなるものです。
NeuRxの概要と意義
NeuRxは横隔神経を電気刺激することにより、横隔膜の収縮を促し、脊髄損傷や中枢性低換気症候群の患者に対する呼吸補助を実現します。2017年10月に国内で初めて薬事承認を受けたこのデバイスは、以降多くの医療現場においてその可能性を探求されています。新型コロナウィルスの影響で国際的な医療交流が制限されるなか、国内初の植込み手術が成功したことは特筆すべき成果です。
発表内容の詳細
髙力先生の発表では、NeuRxを用いた横隔膜ペーシング留置術の実績が報告されました。手術は腹腔鏡を利用して行われ、約2時間の短時間で済むため、患者への負担が軽減されます。電極は左右2本ずつ横隔膜に植込まれ、体外式のパルス発生器が電気信号を送る仕組みになっています。術後はリハビリを行うことで、在宅での管理も可能です。
患者への恩恵と未来
この技術を利用することで、患者は人工呼吸器から一時的に離脱可能となり、生活の質(QOL)が大幅に改善されることが期待されています。また、携帯性に優れた体外式パルス発生器は、災害時にも電源確保が容易であるため、安心して使用できます。さらに、NeuRxは心音を発生しないため、日常生活においても周囲を気にせず過ごせるのが大きな利点です。
経済的負担の軽減
NeuRxが薬事承認を受け、保険に載せられることで、これまで高額だった人工呼吸器に代わる新しい選択肢が提示され、経済的負担も軽減される見通しです。この発表は、脊髄損傷や中枢性低換気症候群の患者にとって、医療の未来に希望を抱かせるものとなりました。
学会の概要
日本内視鏡外科学会の総会は、内視鏡手術の最新技術や研究の進展を共有する重要な場です。今年の会期は2021年3月10日から13日まで、パシフィコ横浜 ノースで開催されました。医師や医療関係者などが集まり、最新の知見や技術が議論されるこの会議は、医療の進歩に大きく寄与しています。
会社情報
NeuRxを持つUSCIジャパン株式会社は、東京都渋谷区に本社を置く医療機器の輸入・製造・販売を行う企業です。1999年に設立され、医療現場での新しい技術の提供に寄与しています。詳細な情報は公式ホームページで確認できます。
URL:
USCIジャパン株式会社