オーツミルクの腸内腸内細菌に対する影響
最近、株式会社明治と大妻女子大学の研究チームは、オーツミルクに含まれる水溶性食物繊維β-グルカンが腸内細菌に与える影響についての研究結果を発表しました。この研究は、2024年11月30日から12月1日に開催される日本食物繊維学会第29回学術集会で取り上げられ、オーツミルクの健康効果に新たな光を当てるものです。
研究の背景と目的
オーツ麦は、その豊富な水溶性食物繊維β-グルカンが特徴的で、この成分が腸内の健康に良い影響を及ぼすことが知られています。しかしながら、オーツミルクに含まれるβ-グルカンがどのように腸内細菌叢に影響するかについては、詳細な報告が少なく、今回の研究がその解明を目的としています。
研究方法
本研究では、オーツ麦から作成したオーツミルクのβ-グルカンの分子量を中分子および低分子に調整し、二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験を実施しました。対象となる20歳から40歳までの健康な男女10名(男性6名、女性4名)を募集し、試験食を摂取後、1時間ごとに最大11時間目までの呼気を採取しました。呼気中の水素ガス濃度を測定し、腸内発酵性を評価しました。
研究結果
実験の結果、低分子化したβ-グルカンを摂取した群では、呼気中の水素ガス濃度が有意に高く、短時間で高い腸内発酵性が確認されました。具体的には、呼気中水素ガス濃度の変化を示す指標であるiAUC2-11が、低分子群で中分子群よりも大きいことがわかりました。さらに、腸内のPrevotella属の細菌が多い群は、呼気中水素濃度が早く上昇している傾向にあり、腸内細菌の種類が腸内発酵の個人差に寄与している可能性が示唆されました。
考察
この研究では、オーツミルク内のβ-グルカンの分子量が腸内発酵に与える影響を評価しました。特に、低分子化が腸内環境への迅速な影響をもたらすことが確認され、腸内細菌の構成が食物繊維の摂取反応に関与している可能性も指摘されています。今後は、これらの知見を基にさらなる研究が進められ、オーツミルクの健康効果を深く理解することが期待されています。コーヒーやスムージーなど、様々な飲料に利用できるオーツミルクが、私たちの食生活における健康をサポートする重要な存在となるかもしれません。
最後に
腸内環境は、私たちの健康に深く関わっています。この研究が示すように、身近な食品から得られる成分が健康に寄与する可能性は大きいです。オーツミルクのような食品を日常に取り入れ、健康な腸内環境を維持することが、今後の健康管理において重要になることでしょう。