銃刀法改正: 自作銃規制強化と猟銃所持の厳格化 - 安倍元総理銃撃事件を受け
銃刀法改正: 自作銃規制強化と猟銃所持の厳格化 - 安倍元総理銃撃事件を受け
先の通常国会では、改正銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)が成立しました。今回の改正は、安倍晋三元総理が銃撃された事件や長野県で発生した猟銃を使った殺人事件を受け、「自作鉄砲を含む銃砲の悪用防止対策」と「許可猟銃の対策」を強化するのが狙いです。
自作銃を含む悪用防止対策の強化
改正では、従来「拳銃等」にのみ適用されていた発射罪が、猟銃や空気銃、クロスボウ等にも適用されるようになりました。人を殺傷する目的でこれらの銃を所持した場合、法定刑は「拳銃等」と同じ「1年以上10年以下の懲役」に引き上げられます。
また、電磁石の磁力で弾丸を発射する「電磁石銃」も銃砲の対象に加えられ、原則所持が禁止されました。警察は現在、電磁石銃の無償回収を行っています。
さらに、インターネット等での悪質情報の対策として、あおり・唆し罪が新設されました。拳銃の自作方法を解説した動画の投稿や、不法所持を呼びかける行為、SNSでの「拳銃を販売します」といった投稿は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
許可猟銃対策の強化
許可猟銃対策では、ハーフライフル銃の所持に関し、猟銃の所持歴10年以上等とするライフル銃の許可基準が適用されます。政府は、獣類による被害防止に支障が出ないように適切な運用を行うとしており、都道府県が事業被害防止の必要性に関する通知を警察に行えば、1年目からハーフライフル銃の所持を可能としました。
一方で、猟銃を使用していない場合に所持許可を取り消すことができる期間が、3年から2年に短縮されました。
今回の改正は、銃器による事件や事故を防ぎ、国民の安全を守るための重要な一歩と言えます。しかし、改正の効果を最大限に発揮するためには、法令の周知徹底や、銃器の不正所持に対する監視強化など、更なる対策が必要となるでしょう。