さいたま市が始める孤独・孤立対策に傾聴AIを導入
埼玉県さいたま市が、政令指定都市として初めて「傾聴AI」を活用した孤独・孤立対策の取り組みをスタートします。これは、株式会社ZIAIと連携し、相談に特化したAIを通じて市民のメンタルヘルスをサポートすることを目的としたものです。市民は24時間いつでもスマートフォンを使って相談でき、この試みは特に深夜にアクセスしづらいとされる人々への新たな手段となります。
孤独感が広がる現代社会の背景
近年、孤独や孤立の問題は多くの人々に影響を及ぼしています。埼玉県の調査によれば、県民の約33%が孤独を感じているという結果が出ています。その中でも特に若者層での孤独感の割合は高く、20代男性では11.1%、女性30代では12.8%にまで上っています。これは、長時間労働や転居によって人間関係が希薄になっているさいたま市の都市構造にも起因しています。
内閣府でも2024年から「孤独・孤立対策推進法」を施行し、アウトリーチ型の相談支援を強化する予定ですが、現状では特定の属性に関する相談窓口が多いため、一般の働く世代やケアラーは支援から漏れやすいという課題があります。そこで、AIを活用した相談窓口が新たな選択肢として浮上しました。
新しい傾聴AIの実証実験
このプロジェクトの一環として、2026年3月5日から6月4日まで「さいたま市聴いてAI」という名称の相談窓口が設置されます。対象は市内に住んでいる人だけでなく、働いている人や通学している学生も含まれています。利用者は、スマートフォンやPCのブラウザを通じて24時間いつでも相談でき、心理的な負担を軽減することができます。
この傾聴AIは、ZIAIが開発した独自のアルゴリズムを基にしており、実証研究によりネガティブ感情が約22%低減することが確認されています。これは、AIが「答えを出す」ことではなく「まず聴く」ことに特化されているため、利用者が自分のペースで気軽に話すことができる設計になっています。
サポートの仕組みと今後の展望
「聴いてAI」は、単に相談を聴くだけではありません。利用者が希望すれば、必要な情報をさいたま市の担当者と連携し、継続的な支援へと繋げる仕組みが整備されています。この「伴走支援モデル」は、AIを入口として行政サービスを生活の中で一層身近に感じられるようにするものです。
ZIAIは、2030年までに誰もが悩みをいつでも相談できる社会の実現を目指しています。この取り組みは、そのための重要な一歩であると言えるでしょう。そして、さいたま市がこのモデルを皮切りに、他の地域でも広がりを見せることを期待します。
自身の気持ちを話しやすく、相談しやすい環境が整うことで、孤独や孤立が少しでも和らぐことを願っています。