韓国青少年文学賞受賞作『クローバー』の魅力
韓国で評判を呼んだヤングアダルト小説『クローバー』が、日本語に訳され、2025年11月10日に発売されることが発表されました。本作品は、貧しい環境に生きる中学生が、特異な存在である黒猫の悪魔と出会うことで繰り広げられる一風変わった物語です。
あらすじ
主人公のジョンインは、祖母と二人三脚で苦しく生計を立てている中学生です。家庭の経済状況は厳しく、日々の生活は困難を極めていました。そんな中、ある日、彼は黒猫に姿を変えた悪魔・ヘレルと邂逅します。この出会いが、彼の日常に変化をもたらすのです。ヘレルは、ジョンインが抑圧されてきた「欲」を呼び覚まし、最終的には彼の魂を奪おうとしますが、物語は彼の内面的な葛藤と成長の過程を描きます。
チャンビ青少年文学賞について
チャンビ青少年文学賞は、2007年に韓国の出版社チャンビによって創設された文学賞であり、若い世代に向けた優れた作品を広めることを目的としています。この賞は、有名無名を問いませんが、受賞歴のある作家は多く、たとえば著名な『アーモンド』も受賞した実績があります。
登場人物の魅力
本作の主人公であるジョンインは、自らの苦しい状況に立ち向かう姿がリアルに描かれており、読者に深い共感を呼びます。一方、悪魔・ヘレルは見た目とは裏腹に、彼の存在はジョンインに新たな視点と選択肢を与え、彼を成長させる重要なキャラクターです。
著者・翻訳者のプロフィール
著者のナ・へリムは1987年生まれで、短編小説で名を馳せた作家です。彼女の代表作『クローバー』は、チャンビ青少年文学賞に輝いています。
翻訳を担当するキム・キョンスクは、在日コリアン3世で、日本の読者に韓国文学の魅力を届けるために活躍しています。2020年には韓国文学翻訳賞を受賞しており、彼女の翻訳によって『クローバー』がどのように日本の読者に響くのか注目です。
最後に
『クローバー』は、幻想と現実が交錯する深いテーマを持った作品で、自分自身を見つけることの難しさや、他者との関わりの大切さを教えてくれます。貧しい中学生が悪魔と共に繰り広げるこの物語は、小さな希望の存在を感じさせ、さまざまな読者の心に響くことでしょう。今から発売が待ち遠しい一冊です。ぜひ、読んでみてください。