粉末の色と香りを保つ画期的な殺菌技術が誕生
電気興業株式会社と酪農学園大学が共同で開発した、粉末食品の殺菌技術が注目を集めています。従来の殺菌方法では、粉末の色や香りが損なわれることが課題でしたが、この新技術は、超高温過熱水蒸気システム「D-Rapid®」と特許技術であるサイクロン式の過熱蒸気反応装置「Rapid SPIRAL」を組み合わせることで、これらの問題を解決することに成功しました。
従来技術の限界と新技術の革新性
粉末食品の殺菌には、放射線、蒸気加圧瞬間殺菌、紫外線殺菌、熱風殺菌などの方法がありますが、それぞれに課題がありました。放射線殺菌は安全性の問題から日本では認められておらず、その他の方法は大量処理が困難であったり、焦げ臭や風味の低下といった品質劣化が避けられませんでした。
しかし、電気興業株式会社と酪農学園大学が共同開発した新技術は、これらの課題を克服。ホウレンソウ粉末や小麦粉末を用いた実験では、色や香りの変化を抑えながら菌数を大幅に削減できることを確認しています。この技術は、食品の安全性を確保しながら、風味を損なわずに済むため、消費者にとって大きなメリットとなります。
Rapid SPIRAL:特許技術の威力を発揮
この画期的な殺菌技術の中核を担うのが、「Rapid SPIRAL」です。特許取得済みのサイクロン式の過熱蒸気反応装置であるRapid SPIRALは、超高温過熱水蒸気を効率的に粉末に接触させることで、短時間かつ均一な殺菌を実現します。これにより、従来技術では避けられなかった品質劣化を最小限に抑えることができます。
酪農学園大学との共同研究:産学連携の成功例
この技術開発においては、酪農学園大学農食環境学群食と健康学類長の阿部茂教授との共同研究が不可欠でした。酪農学園大学は、農業・食糧生産に関連した研究に力を入れており、その専門知識と技術が、本技術開発に大きく貢献しました。産学連携によるこの成功事例は、今後の食品技術開発における新たなモデルケースとなるでしょう。
POWTEX2024での展示と技術説明会
電気興業株式会社は、2024年11月27日~29日に東京ビッグサイトで開催される「POWTEX2024 第25回 国際粉体工業展 東京」に出展します。Rapid SPIRALの実機展示に加え、技術説明会も開催予定。詳細な技術内容や、その可能性について、専門家から直接説明を受けられる貴重な機会となります。
未来への展望:食品の安全とフードロス対策への貢献
電気興業株式会社は、この技術の更なる発展を目指し、殺菌可能な粉末の種類拡大に向けた研究開発を積極的に推進しています。食品の安全性を確保し、フードロス削減にも貢献するこの技術は、食の未来を大きく変える可能性を秘めています。
詳細情報
電気興業株式会社:https://denkikogyo.co.jp/
酪農学園大学:https://www.rakuno.ac.jp/
POWTEX2024:https://www.powtex.com/tokyo/
製品技術説明会:https://www.powtex.com/tokyo/jp/visit/release.php