樹木精油の研究背景
近年、ウェルビーイングや生産性向上に対する関心が高まりつつあり、オフィスや生活空間における香りの活用が広がっています。特に、天然アロマを利用した香りの演出が注目を集めていますが、樹木精油に関する研究はまだ限られています。アットアロマ株式会社と森林総合研究所、A Green株式会社が協力して行ったこの研究は、樹木精油による香りが心理的・生理的に及ぼす影響を検証し、オフィス空間での活用を探求するものです。
研究目的
本研究の目的は、樹木精油がもたらす香りの印象や人への影響を科学的に評価し、オフィス空間における香り利用の新たな可能性を明らかにすることです。樹種ごとの香り成分や特徴を比較し、この天然素材の新たな価値を創出することを目指しました。
研究対象の樹木精油
研究では、国内外から選定した10種類の樹木精油を用いました。採取部位や産地が異なるこれらの精油は、以下の通りです:
- - ヒバ:石川県(能登)
- - トドマツ:北海道
- - スギ:九州
- - ホワイトサイプレス:オーストラリア
- - クロモジ:長野県
- - ヒノキ:奈良県
- - コウヤマキ:奈良県・和歌山県
- - ユーカリ:中国
- - ヒノキリーフ:長野県
- - ホーウッド:中国
研究結果の概要
この研究により、樹木精油ごとに異なる香りの特徴や人への影響が明らかになりました。
1. 印象評価 --- 香りの好ましさ
参加者に樹木精油を「好き」から「嫌い」までの10段階で評価してもらった結果、最も好まれる香りはヒノキであり、以下のような順位となりました:
1. ヒノキ
2. ホワイトサイプレス
3. ヒバ
4. スギ
5. ホーウッド
この結果から、穏やかで個性が強すぎない香りが好まれる傾向があることが示唆されました。
2. 香りの特徴の整理
樹木精油は「穏やかさ」「豊かさ」「個性」という三つの印象軸で特徴づけられました。例えば、スギは特に穏やかな香りとして評価され、クロモジは個性が際立つ香りとの結果が出ました。ヒバはその両方を兼ね備えています。
3. 脳波データの分析
脳波測定では、集中を示す指標としてβ/α値を利用しました。10種類の樹木精油のうち9種類において、集中を高める効果が見られました。
特にヒノキやホワイトサイプレス、ヒバは評価が高く、オフィス環境においても活用が期待されます。ただし、このデータは14名を対象としたものであり、さらなる検証が必要とされています。
4. 香り成分の分析
香り成分分析により、モノテルペン類およびセスキテルペン類が特徴的な樹木精油が確認されました。同じ種類の香り成分を有する樹木精油でも、成分の比率や種類が異なることが印象評価の違いに繋がっていることが明らかになりました。
今後の展望
本研究の成果は、オフィスや商業施設、宿泊施設における香りの設計や樹木精油を活用した新商品の開発に生かされる見込みです。今後も研究機関との共同研究を続け、香りについての科学的知見を蓄積していく方針です。これにより、森林資源の価値向上と心地よい空間の創出に貢献していくことが期待されます。
学会発表について
この研究成果は、令和8年度第39回におい・かおり環境学会にてポスター発表されました。
共同研究パートナー
- - 森林総合研究所:樹木精油の成分分析とデータ解析を担当。
- - A Green株式会社:天然香料の提供および専門知見を基に共同研究に参加。
会社概要
アットアロマは、アロマ製品の開発から香りのある空間までを提供する専門ブランドで、世界中の6,000箇所以上でセンティングデザインを提供しており、家庭向け商品やアロマ体験イベントも手掛けています。