SANKO MARKETING FOODSと大治、食材流通の新たな流れを築く
株式会社SANKO MARKETING FOODS(以下、SANKO)は、東京都大田区に本社を構える株式会社大治との業務提携を発表しました。この提携は、水産と青果という異なる生鮮食品の分野を結びつけ、持続可能な新たな流通モデルの構築を目指して進められます。
業務提携の背景
日本の食を支える基盤である1次産業や流通の現場には、共通の課題が存在しています。特に水産業では、漁業の担い手不足や高齢化が進み、今後の漁獲量の減少が懸念されています。また、燃料費や物流コストの上昇も相まって、収益の確保が困難になっています。
青果物流においても、同様の課題が見受けられます。生産者や流通を担当する労働力の不足、そして物流コストの高騰や天候に起因する価格変動、フードロス問題が深刻化しています。特に、鮮魚や青果物は鮮度が命であり、安定した物流体制が求められていますが、そのコストが現場に大きな負担をかけている状況です。
このような課題に直面する中、従来の分断された流通モデルを見直し、食材を跨いだ新たな連携の仕組みが迫られています。
業務提携の目的
この提携を通じて、SANKOと大治はそれぞれの強みを活かし、産地への負担を軽減し、食素材の価値を高めることを目指しています。具体的には、安定した新鮮な食材を食の現場に届けることで、持続可能な流通モデルを確立します。
SANKOは「とる うる つくる全部、SANKO」というスローガンのもと、漁業から加工や流通、販売までを一貫して行い、消費地に水産物を届ける役割を果たしてきました。2022年には豊洲市場の卸売業者を子会社化し、流通基盤の拡充にも努めています。
一方、株式会社大治は、日本最大級の青果市場である大田市場を拠点に、70年以上にわたり青果仲卸事業を展開してきた企業です。自社の流通網と低温物流センターを活用し、鮮度を保ちながら早急に青果物を提供する仕組みが強みです。
提携による具体的な取り組み
提携に基づく両社の取り組みは、以下の通りです。
1. SANKOの水産物に関する取引先や販売チャネルと、大治のネットワークを融合し、安定した供給体制を築く。
2. 大治が構築してきた青果物の販売チャネルとSANKOの資源を連携させ、水産と青果の新しい提案が可能に。
3. 両分野での取引先との連携を深化させ、商品企画や提案力の向上を図り、物流の効率化を目指す。
4. 大治の物流インフラを活用し、生鮮食品の鮮度を維持しつつ、効率的な流通を実現する。
5. 上記に関し両社で協議を重ねながら、合意した取り組みを順次進めてゆく。
企業情報
株式会社大治は、東京都大田区に本社を構え、青果物仲卸や青果物流通コンサルティングを行う企業で、1949年に設立されました。自社の流通網と冷凍・冷蔵のインフラにより、青果物の鮮度を確保した安定配送を強化しています。
SANKOは、飲食店経営や水産業に加え、除菌・清掃事業、ECサイト運営など多岐にわたる事業を展開しています。業務提携により、水産と青果の分野を横断する新たな価値創出に向けて大きな一歩を踏み出しました。
これによって、業界全体の課題解決を目指し、持続可能な食の未来が築かれることが期待されます。