東アジアでの医療イノベーションの未来
2024年、東京で開催された「Gateway to Asia」イベントでは、日本と台湾の医療イノベーションに特化した議論と交流が行われました。医療の現場では人材不足や高騰する医療費、そしてデジタルヘルス技術の進化が課題となる中、両国の協力の重要性が増しています。
医療現場の現状と課題
日本と台湾は、医療制度や臨床水準、技術力において親和性が高いものの、実用化に向けた連携はまだ限られています。この現状を打破するために、台湾のメドテックアクセラレーターであるBE Healthが、「Gateway to Asia」と題したイベントを企画しました。このイベントは、単なる情報交換ではなく、実際のビジネス連携に発展させることを目的としています。
11月7日の基調講演
最初のイベントが行われたのは2024年11月7日、Startup Island TAIWAN東京ハブで、窪田製薬ホールディングスCEOの窪田良氏と、東京大学発のスタートアップINOPASE社のCTO王彥博氏が講演しました。窪田氏は台湾での実践的な医療体験を基に、臨床の特性や独自のアプローチについての洞察を共有しました。また、王氏はBE Healthのアクセラレーターへの参加経験から、病院ネットワークを経て臨床課題を見つけ出す重要性を説きました。その後、シリコンバレー・ベンチャーズ社のCEOであるジョン・コジロ・森和氏をモデレーターに、ポント・オブ・ケア(PoC)の設計と実行に関する活発なパネルディスカッションが展開されました。
12月11日の事業化への道
続いて12月11日には、東海証券オルクドールサロン青山でイベントが開催され、株式会社GENOVAの井上祥氏が臨床現場からのイノベーションを事業化する視点で講演しました。加えて、SBIインベストメントの加藤由紀子氏、帝人ファーマの前田明寛氏も登壇し、スタートアップと既存企業がどのようにして協業を成功させるかに関する具体的な知見が紹介されました。
BE Healthの役割
BE Healthはこれからも日本と台湾をつなぐ医療イノベーションのプラットフォームとしての役割を果たし続けます。病院、スタートアップ、投資家、企業の連携を通じて、それぞれの国が持つ強みを活かした実践的な解決策を推進していきます。現在、同社では2026年1月17日まで、2026年度のPoCプログラムへの参加企業を募集しており、各社には医療機関への直接的なアクセスや、事業化・投資に向けたサポートが提供されます。
BE Healthのビジョン
BE Healthは、個別のビジネスモデルである「BE Accelerator」と「BE Health Ventures」を駆使して、メドテックスタートアップの成長を多角的に支援しています。設立以来、加盟医療機関との密接な連携を通じて、約150社のスタートアップを支援し、200億ドル以上の資金調達を実現してきた実績があります。
これからの医療技術の進化は、多国間の協力を通じて実現されるというビジョンを持つBE Healthの今後の展開に注目です。