遺言が無効でも財産は渡せる?死因贈与の成否を解説
「遺言書の作成は面倒だし、そもそも遺言って有効になるのかな?」
相続を考えた時、多くの人が抱く不安ではないでしょうか。遺言は厳格な要式行為とされ、形式が整っていなければ無効になってしまう可能性があります。
もし遺言が無効となってしまった場合、大切な財産は誰が相続することになるのでしょうか?
そこで注目したいのが「死因贈与」です。
死因贈与とは、贈与者(被相続人)の死亡によって効力が生じる贈与のこと。遺言と比べて認知度が低く、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。
遺言が無効になった場合でも、死因贈与によって財産を譲り渡せるのでしょうか?
新日本法規出版株式会社が運営する「新日本法規WEBサイト」では、弁護士の政岡史郎氏が、この疑問を解き明かす最新法令記事を公開しました。
遺言と死因贈与、何が違う?
遺言と死因贈与はどちらも、自分の財産を他人に譲り渡す方法ですが、大きな違いがあります。
まず、遺言は単独行為であり、遺言書を作成することで、自分の意思を表明するものです。一方、死因贈与は贈与者と受贈者間の契約行為であり、双方の合意が必要です。
遺言は厳格な形式が定められており、形式を満たさなければ無効となってしまいます。自筆証書遺言の場合、全文直筆・署名押印など、細かいルールがあります。
一方、死因贈与は口頭での合意でも成立する可能性があり、書面を作成する必要はありません。
死因贈与が認められるケースとは?
では、遺言が無効となった場合、死因贈与によって財産を譲り渡せるのでしょうか?
過去の判例では、贈与者の意思が明確に示された書面や、預金通帳・実印などの重要物品の受け渡しなど、様々な状況から死因贈与契約の成立を認めたケースがあります。
しかし、贈与者の意思は詳細な事実経緯から判断されるため、死因贈与契約の成立を否定する判例も多いのも事実です。
つまり、死因贈与は遺言のように明確な形式が定められておらず、個別の状況によって判断されるため、成立が難しいケースも少なくありません。
専門家の意見を参考に、適切な方法を選択しよう
遺言や死因贈与など、相続に関する手続きは複雑で、専門知識が必要となります。
自分の財産をどのように相続人に残したいのか、しっかりと計画を立て、必要であれば専門家に相談することが大切です。