ロレアルの革新
2025-10-14 13:32:01

ロレアル、日本で進化する次世代化粧品素材の研究成果

ロレアルの次世代化粧品素材開発



はじめに


世界最大の化粧品会社、ロレアルの研究開発部門であるロレアル リサーチ&イノベーション ジャパンが、新たな化粧品素材に関する驚くべき研究成果を発表しました。2025年9月25日、東京都新宿区で開催された「Future Trend in Polymer Science 2025」にて、五十島健史研究員が講演を行い、イオン相互作用による機能性マテリアルの創製について詳述しました。

化粧品と科学の関係


化粧品は単なるメイク製品ではなく、科学に裏打ちされた複雑な物質です。化粧品は固体と液体の特性を併せ持った粘弾性体となっており、その性能は、皮膚に塗布された後の環境変化に柔軟に適応できる能力に依存します。そのため、フィルム形成や耐水性、油剤のカプセル化など、さまざまな機能を兼ね備えている必要があります。

研究成果:ナノゲル粒子の開発


五十島研究員は、セルロース誘導体であるポリクオタニウム-67(PQ67)と植物由来のフィチン酸(PA)を使用し、ナノゲル粒子を創製しました。これらの成分は、イオン相互作用や水素結合を通じて、ソフトマターとして機能するナノゲルを形成します。このゲルは水中では約10nmのサイズですが、皮膚上では乾燥により濃度が増加し、強固なフィルムを形成することが確認されています。形成されたフィルムは、優れた耐水性を持ち、自己修復機能も備えており、化粧持ちの向上が期待されます。

化粧品の性能向上


この新しいナノゲルは、従来のPQ67単独やPA単独と比較して、界面活性性能が大幅に向上しました。これは、多量の油分を安定に乳化できる能力を持ち、乾燥によるフィルム形成後も油分の合一を抑制することができるためです。こうした技術によって、油っぽさやべたつきのない化粧品を実現します。

日焼け止めへの応用


特に日焼け止めにおいては、油性成分を高含有する油中水系エマルション組成を使用しており、PGPが粉体と協調して三次元ネットワーク構造を形成します。この技術により、テカリ防止や紫外線吸収能の向上が期待され、さらに自己修復機能も併せ持つことが確認されています。実際、2025年4月には、ランコムから発売された「UV EXPERT XTREEM SHIELD」にこの技術が応用されています。

まとめ


ロレアル リサーチ&イノベーション ジャパンは、長い歴史と共に日本の文化や市場を深く理解し、優れた研究者たちが革新的な化粧品開発に取り組んでいます。今後もこの技術が進化し、より良い化粧品を提供することが期待されます。

参考文献


1. T. Suga et al., IFSCC Congress 2021: Poster SC-494 (2021)
2. 菅 友美ら、オレオサイエンス, 23 (1), 6-10 (2023)
3. 小池 徹ら、Cosmetic Science 1, 18 (2025)


画像1

会社情報

会社名
日本ロレアル株式会社
住所
東京都新宿区西新宿3-7-1新宿パークタワー
電話番号

トピックス(コスメ・メイク・美容)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。