ZARAとFanglu Linのコラボ、テキスタイルの新たな魅力とは
ZARAが、中国の北京を拠点とするテキスタイルアーティスト、Fanglu Lin(ファンルー リン)とのコラボレーションコレクションを発表しました。これは、彼女にとって初めてのファッションデザインの試みであり、ウィメンズ、メンズ、キッズ、そしてホームアイテムを含む、カプセルコレクションとして展開されます。このコレクションは、祖先から受け継がれた技術と現代的なデザイン感覚を融合させた、まさに芸術とファッションのユニークな再解釈です。
ファンルーは、「伝統工芸の中で時間はただ積み重なるのではなく、縫い目や結び目に蓄えられ保たれている」と語ります。彼女は、長年の間、現代の生活リズムにこのような瞑想的な時間感覚を取り入れようとしてきました。テキスタイルは単なる素材やテクニックを超え、文化の記憶を形作っていると彼女は考えています。ファンルーの見解では、私たちが縫うのは布だけでなく、歴史や感情が絡み合った縫い目であり、このコレクションはまさにその象徴です。
彼女のアート作品は、中国雲南省に住む少数民族・白族のテキスタイル伝統に深く根ざしています。ファンルーは、雲南省・大理の周城村にて1年間を過ごし、代々受け継がれてきた技法を持つ女性職人たちから絞り染めや織り技術を学びました。その結果、彼女はこれらの伝統を再解釈し、抽象性や感情の力を持った大規模な彫刻作品として昇華させてきました。
今回のコラボレーションは、新たなオーディエンスへの提案でもあり、ファンルーの作品の進化を示しています。ZARAのデザインチームと協力し、彼女の制作プロセスを衣服に落とし込み、アートワークのディテールを再解釈しました。カラーパレットにはナチュラル、ブラック、インディゴが採用されており、彼女自身の水彩画からインスパイアを受けた繊細なプリントが施されています。
コレクションには、刺繍や結び目、シャーリング加工など、彼女がインスピレーションを受けた職人的な要素が散りばめられています。脱構築的なテーラリングは、精巧な紐のディテールによって特徴付けられ、固定されたネックラインやシルエット形成により、流動的で立体感のある衣服となっています。彼女の独自の技術により、まるで生きた繊維のような表面が生み出されています。このような結び目とギャザーの要素は、体の輪郭を優しく描き出すドレスに詩的な抑制をもたらします。
この「柔らかさの哲学」はメンズウェアにも受け継がれ、構造と流れの境界線が曖昧になります。ファンルーの初のファッションコレクションは、遊び心と独創性、そして情熱がこもったデザインを反映したキッズラインで完結し、洗練されていると同時に素朴で繊細なディテールも兼ね備えています。
特に注目すべきは、ファンルーが表現する現代的な女性らしさの本質を、このコレクションを通じて誰もが身につけられる形で示している点です。今回のコラボレーションは、アートを日常に取り入れる新たなアプローチを提案しています。
このFanglu LinとZARAのコラボコレクションは、4月24日(木)より、一部店舗およびオンラインで販売が開始されます。また、ZARA銀座店では、このコレクションを特集したスペシャルコーナーが展開される予定です。