世界の食卓を支える メープルシロップの未来
カナダのケベック州は、世界で最もメープルシロップ生産国として知られています。その生産量は驚異的で、なんと、全世界のメープルシロップの約7割を占めています。この地域では、すでに2025年春の収穫が待たれており、予測ではその総重量が2億2,500万ポンド(約102,000トン)に達する見込みです。この数字は、昨年の最高記録に次ぐもので、メープルシロップの需要がいかに高まっているかを物語っています。
新たな採取口の設置
QMSP(ケベック・メープルシロップ生産者協会)は、メープルシロップの需要に応えるため、新たに700万の採取口を設けることを決定しました。この取り組みは、生産者のリーダーであるリュック・ゴーレから発表され、今後の需要拡大に向けた重要な一歩となります。新設の採取口により、年間に約2,500万ポンド(約11,000トン)の増産が期待されており、世界的な需要に対応する準備が整いつつあります。
ゴーレ会長は、「素晴らしい収穫量でしたが、世界的に高まるメープル製品への需要に対応するため、さらなる進展が必要です」とコメントしています。この701万の採取口追加策は、これまでも2021年および2023年に実施されており、最近5年間で生産能力を50%も増加させてきたのです。
戦略的備蓄制度
メープルシロップの生産は、自然環境に影響を受けるため、QMSPは不作年に備える視点から「戦略的メープルシロップ備蓄制度」を運用しています。現在、備蓄量は約4,000万ポンド(約18,000トン)と少々少なめですが、今後の国際的な需要や貿易情勢を考慮して、現行の生産が需要に応えるギリギリの状態にあると予想しています。この新しい採取口の設置計画は、供給不安を克服するための戦略的な判断に基づいていることが明らかです。
持続可能な出発
さらに、QMSPでは、ケベック州政府との協力のもと、今後20年間で5万ヘクタールの公有林を整備して「ダイナミック・バンク」を設立する計画も立てています。これにより、持続可能な収穫を確保し、将来的な安定供給を実現するための基盤を築くことが期待されています。
日本市場へのアプローチ
ケベック・メープルシロップ生産者協会は、「Maple from Canada」というブランド名で知られ、世界中の70カ国以上に高品質なメープルシロップを提供しています。特に日本の食卓でもその存在は大きく、パンケーキや和食、スイーツなど、さまざまな料理に幅広く利用されています。気候変動や供給の不安が高まる中でも、メープルシロップの魅力をしっかりと保つための努力が続けられています。
ケベック州のメープルシロップは、ただの調味料ではなく、その背後にあるストーリーや生産者たちの情熱が詰まったものです。彼らの取り組みは、今後も私たちの食卓を豊かにしてくれることでしょう。
ケベック・メープルシロップ生産者協会公式サイト