AIとアルミニウム合金
2025-02-05 14:04:52

深層学習で進化するアルミニウム合金の特性予測技術

深層学習で進化するアルミニウム合金の特性予測技術



近年、気候変動問題に直面する中、金属の中でも軽量で強度のあるアルミニウム合金の重要性が増しています。その中で、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は、深層学習を使った画期的なアルミニウム合金の特性予測技術を発表しました。

1. 研究の概要



この技術は、光学顕微鏡で撮影されたアルミニウム合金の微視組織の画像から、その機械的特性を予測するものです。具体的には、引張強度や伸びといった特性を、高い精度で推定します。この研究を率いるのは、産総研のマルチマテリアル研究部門の村上雄一朗主任研究員をはじめとするチームです。

特に目を引くのは、20種類の異なる条件下で撮影した合計240枚の画像を基に、深層学習モデルを用いて特性を予測できる点です。これにより、従来の実験的手法では成し得なかった迅速な特性評価が実現され、開発期間の短縮が期待されます。

2. 環境問題への貢献



アルミニウム合金の製造は、温室効果ガスの排出が大きく、特に従来の製錬法ではその影響が顕著です。一方で、リサイクルアルミニウム合金は温室効果ガスの排出量を20分の1以下に抑えることができるため、環境への配慮が求められています。しかし、リサイクルには多様な合金元素が混入するため、用途に制約があったのが課題です。

産総研の新技術は、リサイクルアルミニウム合金の特性最適化にも貢献します。特に、合金元素が多く含まれる鋳造用アルミニウム合金に対して、深層学習を活用し、特性を予測することで、これまで限られていた用途の拡大を図ります。

3. 技術の詳細



開発にあたっては、まず光学顕微鏡で捉えた微視組織画像が必要です。その後、これらの画像に基づいて、アルミニウム合金の引張強度や伸びなどの情報を深層学習モデルで関連付け、精度の高い予測を行います。例えば、様々な合金元素の組み合わせを考慮しつつ、金型鋳造と砂型鋳造の2つの方法で製作した試験片を用いて特性を評価します。

また、予測の精度を向上させるため、433種類以上の異なる画像データを扱い、AIを鍛えあげることにも注力しています。これにより、数百枚の画像データをもとに、高精度な予測が可能になりました。

4. 今後の展望



この技術の発展により、高性能なアルミニウム合金の開発が加速します。特にリサイクル合金に対して応用することで、資源循環型社会の構築や、温室効果ガス削減にも寄与できると期待されています。

具体的には、さらなるデータの収集とAIの学習を通じて、より広範な範囲で特性最適化を進める予定です。この進展は、アルミニウム合金の製造だけでなく、様々な産業への応用も視野に入れています。

今後、この分野の技術革新がどのように進展していくのか、目が離せません。

論文の発表



この技術の詳細は、2024年12月25日に学術誌「Acta Materialia」に掲載予定です。著者には、村上雄一朗氏、古嶋亮一氏、尾村直紀氏などが名を連ねています。興味のある方は、是非論文のチェックをお勧めします。興味深い成果が発表されることでしょう。


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