近年、物流業界は革新を求められています。その中でも、自動運転技術は特に注目されています。この度、加工食品の物流を手掛けるF-LINE株式会社が、株式会社T2の自動運転トラックによる商用運行に参画することが発表されました。これは、2025年11月に実施される予定で、関東〜関西の間での幹線輸送において新たな可能性を開く試みです。
F-LINEの本社は東京都中央区にあり、同社は既に多くの食品メーカーの物流を担当しています。具体的には、味の素株式会社やカゴメ株式会社、日清オイリオグループ、日清製粉ウェルナ、ハウス食品グループ、Mizkanの計6社がそのふるさとからの製品を運ぶことになります。
現在、国内の加工食品市場は緩やかに成長しており、その背景には「2024年問題」などトラックドライバー不足が重くのしかかっています。物流業界は、持続可能な輸送体制の構築が急務とされています。F-LINEは、こうした流れの中で自動運転による効率的な輸送の可能性を探っています。
実際に、F-LINEとT2は、今年の2月から10月にかけて実証運行を行ってきました。その中で、T2が開発したレベル2の自動運転トラックを活用し、6社の製品を幹線輸送し、その有効性を入念に検証しました。積載量の試験や昼夜を問わない運行によるオペレーションの最適化を進め、それにより商用運行に必要な安全性や品質を確認しました。
T2は今年の7月、自動運転トラックによる幹線輸送を国内で初めて事業化し、5社の大手ユーザーと共にレベル2自動運転トラックの商用運行を開始しました。その流れに伴い、F-LINEもT2の自動運転トラックの商用運行に参加することが決定しました。2023年11月20日からは、神奈川県の川崎物流センターと兵庫県の西宮物流センターを結ぶ約510キロの定期運行が開始される予定です。この区間では、うま味調味料やトマトケチャップ、ポン酢、食用油、小麦粉、カレールウなど多様な製品が運ばれることになります。
さらに、F-LINEはこの商用運行を通じて得た経験と実績を基に、2027年に予定されているレベル4自動運転梱包の幹線輸送サービスへの参画も視野に入れています。これにより、今後の物流業界において自動運転技術が果たす役割はますます重要になるでしょう。
F-LINEの坂本社長は「自動運転という新しい技術を活用することで、持続可能な物流システムを構築していきたい」と語ります。また、T2の熊部CEOも「安全性と効率性を重視した自動運転トラックの開発を進め、社会のニーズに応えます」と意気込みを見せています。
今回の連携は、ただのトラックの運行手段を変えるだけでなく、食品物流全体に革命をもたらす可能性を秘めています。今後、F-LINEとT2の取り組みがどのように発展していくのか、目が離せません。