近年、弁当店の倒産件数が増加傾向にあり、その背景には様々な要因が絡んでいます。2025年には、仕出しやテイクアウトを主力とする弁当店の倒産数は55件に達し、前年を上回る結果となりました。特に、この傾向は中小企業にとって深刻な問題となっています。
弁当業界は、個人店の閉業を含めると、実際にはより多くの店が市場から姿を消したことが考えられます。これには、競争が激化する中で、特にコストを削減したい消費者のニーズに応じた低価格弁当を提供する中小弁当店が直面する厳しい環境が寄与しています。
具体的には、コロナ禍以降のテレワークの普及により、オフィス街でのランチ需要が減少していることや、大口注文の減少が影響しています。また、競争相手となるコンビニエンスストアやスーパーマーケットは、品質向上を図り、より多様な商品の提供を行っています。このような変化により、コスト面で太刀打ちできない中小業者は経営に苦しんでいます。
最近では、原材料の価格高騰も深刻な問題です。特に米や鶏肉、食用油などの価格が上昇し、経営を圧迫しています。2021年以降は、世界的な情勢や円安などが影響し、食材の調達コストが高騰しました。このため、値上げが必要でも、客離れを恐れて実行できないというジレンマに陥っています。
中小の弁当店は、特に利益構造が脆弱で、食材費が大きなウエイトを占めているため、原材料高に対応するための価格転嫁がやりにくくなっています。結果的に、損益状況は厳しく、2025年度には赤字になる店も多く、全体の64.8%が業績が悪化する見通しです。
一方で、弁当市場全体で見れば、トレンドとして高付加価値の弁当や健康志向の弁当の需要が高まっています。「こだわりの米」や「管理栄養士監修」のメニューを打ち出すことで、高価格でも消費者の満足度を得ている店舗も存在します。また、大手チェーンはセントラルキッチンを活用することで、500円台の価格を維持しながらも利益を確保しています。
このように弁当市場は、安さを重視した店舗と、高付加価値を追求する店舗という二極化が進んでいると言えます。今後の弁当業界においては、競争がますます激化する中、各店舗がどのような戦略で生き残っていくのかが注目されます。
また、消費者側も運命を共にしていると言えます。値段が安いものを求む一方で、品質や価値を求める意識も高まっています。これからの弁当店の動向に目が離せません。