コールセンターCX調査2025:生成AIと顧客体験の現状を探る
NiCE(ナスダック:NICE、日本法人ナイスジャパン株式会社)が実施した「カスタマーエクスペリエンス(CX)調査2025」の結果が発表されました。今回で5回目となるこの調査は、消費者と企業の双方からの視点を取り入れ、コールセンターにおける顧客体験の実態を明らかにすることを目的としています。調査の主な焦点は、生成AIの導入状況やカスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関する問題です。
調査の概要と実施内容
調査は、消費者250名と企業250名を対象に行われ、主な目的はコールセンターにおける問い合わせチャネルの状況を分析することです。今年の調査では、コールセンターでの生成AIの導入状況や、カスハラ防止条例の認知状況を問う設問が新たに追加されました。調査の実施期間は、消費者が2025年6月2日から6月5日まで、企業が5月30日から6月2日までです。
調査結果の要点
1.
生成AIの導入状況: 調査によると、コールセンター業務で生成AIを導入・運用している企業は全体の23.6%に達しました。特に大企業においては、昨年の21%から31%へと増加しています。
2.
カスタマーハラスメントの影響: カスハラは、企業の生産性に悪影響を及ぼす要因とされ、中小企業での認識が高まっています。「生産性を下げる要因」とする回答は37.4%でした。
3.
消費者の疑問解決手段: WebサイトのQ&Aを利用する消費者は88.8%、問い合わせフォームは77.6%ですが、これを提供している企業はそれぞれ59.6%、63.2%にとどまっています。また、消費者は電話による問い合わせでの疑問解決率が90.4%と高いことが確認されました。
4.
2030年問題への取り組み: 調査からは、雇用対策、FAQサイトの強化、自動化による人材不足の補填が2030年への主要な対策であることがわかりました。
カスハラ防止条例の影響
新たに施行されたカスハラ防止条例が、コールセンター利用にどのような影響を与えるかについても調査が行われました。消費者は「言動に注意するようになる」との回答が75.8%、次いで「ネットで解決しようとする」が54.5%と、利用者の意識に変化が見られました。
NiCEの見解
NiCEの社長、オリビエ・ジオレットは、この調査を通じて日本企業の間で生成AIの取り組みが進んでいると述べています。しかし、顧客のニーズと企業が提供するサービスとの間には未だ大きなギャップが存在し、CXの質向上が今後の課題であると強調しました。
企業の今後の戦略
NiCEは、クラウド型コンタクトセンター「CXone Mpower」を通じ、企業のCX改革を支援するための高度なソリューション群を提供しています。企業とパートナーと協力し、日本市場におけるCXの進化を加速させることを目指しています。
まとめ
CX調査2025からは、生成AIの導入が進む一方で、顧客体験の充実にはまだ目を向けるべき課題が多いという現実が浮き彫りになりました。今後の市場動向とともに、企業がどのようにこの課題に対処していくのか、注目が集まります。str.