浮世絵を纏った特別なグランドピアノ『神奈川沖浪裏』、万博で披露
株式会社ヤマハミュージックジャパンより、世界的に有名なピアノメーカー、ベーゼンドルファーの新作グランドピアノ『The Great Wave off Kanagawa(神奈川沖浪裏)』が発表されました。4月1日より販売が開始され、特に注目されるのは2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)での展示です。今回は、この美しいピアノの魅力と、その特別な背景についてご紹介します。
1. 葛飾北斎の名作をモチーフにしたデザイン
このピアノは、江戸時代に活躍した浮世絵師、葛飾北斎の代表作「神奈川沖浪裏」をテーマにした特別モデルで、全世界でわずか16台の限定品です。北斎の作品の中でも「富嶽三十六景」の最高傑作と称されるこの絵が、ピアノの屋根の内側に美しく描かれています。
また、色彩テーマとして使用されるプルシアンブルーは、ピアノの側板と椅子のクッション部分にも取り入れられ、視覚的にも非常に魅力的な仕上がりです。そして、ピアノのフレームや譜面台には、北斎の署名が赤色で施されており、日本文化における赤の特別な意味合いを感じ取ることができます。赤は太陽の象徴で、邪悪なものを払う色ともされているため、特別感が一層高まります。
加えて、ピアノの左側には、シリアルナンバーを刻印した真鍮のプレートが埋め込まれており、これは限定モデルであることを強く印象づけています。
2. オーストリア職人の丹精込めた作り
『The Great Wave off Kanagawa』は、ベーゼンドルファーの人気シリーズ「214VC」を基盤としており、オーストリアの熟練職人によって丁寧に製作されています。特に、全てのチューニングピンに対して独自に弦を張る「総1本張り」の手法によって、音程の安定性が高められています。
楽器全体の80%以上に高品質のスプルース材を使用し、振動と共鳴を最大限に引き出すことで、ベーゼンドルファー特有のウィンナートーンの豊かな響きが楽しめるのも特筆すべきポイントです。これにより、煌びやかな音色を実現しています。
3. 1000曲以上を自動演奏可能
このピアノには、ディスクラビア・エディションが導入されており、クラシックやジャズなどの名曲が1000曲以上、内蔵されています。また、往年のピアニスト、ヴィルヘルム・バックハウスやルービンシュタイン、さらにはラフマニノフ自身の演奏データまで再生可能ですので、ジャンルを問わず多くの音楽を楽しむことができます。
4. 大阪・関西万博での重要な展示
ベーゼンドルファーは1828年に創業し、ウィーンの音楽文化と日本文化の融合を象徴するピアノとして、『The Great Wave off Kanagawa』を特別に製作しました。大阪・関西万博では、このピアノが美しい音色とともに展示される予定であり、多くの訪問者を魅了することでしょう。
まとめ
株式会社ヤマハミュージックジャパンから発売される『The Great Wave off Kanagawa』は、ただの楽器ではなく、芸術作品としての価値も持つ特別な存在です。葛飾北斎の美しい浮世絵を体現しつつ、ベーゼンドルファーならではの質の高い音色を持ち合わせるこのピアノ。音楽と美術、両方のファンにはたまらない一品となることでしょう。