Green Carbonが発表したベトナム2024年水田プロジェクト成果
Green Carbon株式会社が、2024年にベトナム北部で展開した水田の間断灌漑プロジェクトの成果をまとめた「AWD Project Report:Vietnam 2024」を発表しました。このレポートは、ベトナム北部の6エリアにおける農業の持続可能性向上と、カーボンクレジット創出の取り組みを詳述しています。
ベトナムの米生産と温室効果ガス問題
ベトナムは世界で5番目にあたる米生産国であり、2024年にはおよそ2,650万トンの米が生産される見込みです。この米作りは、同国の農業セクターにおいて重要な位置を占めていますが、一方でベトナムは年間約3億トンの温室効果ガス(GHG)を排出しており、世界第17位のGHG排出国となっています。特に、農業部門からの排出量は総排出量の約15%を占め、その中でも稲作からの排出は約30%に上ります。
このような背景から、Green Carbonは2024年にメタンガス削減を目指したプロジェクトに着手しました。具体的には、AWD(水田における間断灌漑)を導入することで、水の使用量の削減とともに収穫量の向上を図り、農家の収益増加を目指す取り組みを行っています。
プロジェクトの具体的な内容と成果
今回のプロジェクトでは、ベトナム北部の6つの省で展開されました。具体的には、ゲアン(Nghe An)、ナムディン(Nam Dinh)、ヴィンフック(Vinh Phuc)、タンホア(Thanh Hoa)、フンイエン(Hung Yen)、ハイズオン(Hai Duong)の6エリアです。AWDは、農作物の育成過程において土壌に空気を触れさせる乾燥期間を複数回設ける手法です。この方法を導入することで、メタンを生成する細菌の活動を制限しつつ、効率良く米を生産することが可能になります。
プロジェクトの初年度である2024年には、ゲアン省だけで年間約11トンのメタンガスの排出削減が実現されました。これは、従来の栽培方法に比べて約55%の削減効果に相当します。また、収穫量も年間で1ヘクタールあたり平均0.66トン増加しており、農家の収入は9%向上しました。
継続的な地域への影響と今後の展望
Green Carbonは、地域の大学や研究機関との連携に基づいた技術支援を行い、農業の持続可能性を高めるための活動を進めています。このプロジェクトの成果を元に、2030年には全24省、約75万ヘクタールへのAWD導入を目指す計画が立てられています。また、ベトナム政府の「100万ヘクタールプロジェクト」にも参加し、農業の革新を推進しています。
今回の成果報告は、ベトナム国内外の投資家や関係者に向け、持続可能な農業と環境保護の関連性を示す重要な資料となりました。Green Carbonは今後もより多くの地域にこのプロジェクトを拡大し、持続可能な農業の推進と地球温暖化問題への対応を続けていくことでしょう。