LGBTQ+を取り巻く企業の現状と課題
日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』が実施した「LGBTQ+に関するアンケート調査」の結果が発表されました。この調査は184名からの回答を得たもので、結果から見えたことは、LGBTQ+への企業の取り組みが依然として不十分であり、意識の壁が課題とされていることです。
調査結果の概要
意識の現状
調査によると、LGBTQ+に対して最も多くの回答者が持っている理解は「なんとなく」で65.7%でした。一方で、約3割の人がLGBTQ+に関する社会的課題には「関心がない」と答えています。これは、知識は広がりつつあるものの、企業としての対応が追いついていない現状を示しています。
LGBTQ+当事者の存在
自社にLGBTQ+当事者がいるかという問いに対して、過半数が「把握していないがいると思う」と応えており、これからの取り組みが急務であることが浮き彫りになりました。特に社員数100名以上の企業では約8割がLGBTQ+の存在を把握または推測しています。
直面する課題
実際にLGBTQ+当事者が職場で直面する懸念として、「ハラスメント・差別」が71.7%で最多でした。次いでトイレや更衣室の利用のしづらさ、カミングアウトのしづらさが挙げられています。これは企業内の文化やコミュニケーション設計が影響しており、職場環境の改善が求められます。
取り組み状況
さらに、調査から約7割がLGBTQ+に対する取り組みを実施していないと回答しており、実施している企業においてもその多くは取り組みを対外的に表明していないことが分かりました。また、取り組みがある企業の中で、「社内の意識が高まった」とする回答が40%に達していますが、同時に「特に変化はない」との意見も50%を占めており、変化が一過性ではないかという懸念も浮上しています。
意義と具体的な取り組み
LGBTQ+に対する取り組みを始める意義として「すべての従業員が安心して働ける環境づくり」が69%という結果でした。企業が行うべき具体的な取り組みとしては、社内研修やダイバーシティ推進の方針策定が多数を占めましたが、実際の相談窓口の設置など、具体的な施策は依然として少数であることが分かりました。
課題の整理
調査結果からは、LGBTQ+への取り組みに関する課題がいくつか浮かび上がっています。まず、社内の関心が低く、施策の優先度も低いという点です。このような状況下では、企業が具体的な施策を打ち出すことが難しく、今後の対応策が問われます。
最近の調査では、企業のLGBTQ+への取り組みが文化として根付くかどうかが重要だと考えられています。個別対応を重視した柔軟な仕組みを整備し、職場環境を改善することが、より多様性を尊重する企業文化を築く鍵となるでしょう。
結論
今回の調査は、LGBTQ+に対する企業の取り組みがいまだ道半ばであることを示しています。「当事者がいると思うが把握できていない」といった声が多く聞かれる中で、企業には制度設計だけでなく、現場の声を聞く姿勢が求められています。どんな配慮が必要かを現場と共に考え、相談の風土を形成することで、企業文化全体が変わる可能性を秘めています。これからの企業は、LGBTQ+だけでなく、あらゆる多様性を尊重するために、積極的なアクションを起こす必要があります。