LIFULL HOME'Sが発表した新研究『官能都市2025』が示す未来の都市の姿
株式会社LIFULL(以下、「LIFULL」)の社内シンクタンクであるLIFULL HOME'S総研が、2025年9月24日に発刊した研究報告書『Sensuous City [官能都市] 2025』が注目を集めています。この報告書は、人々が感じる都市の魅力を身体的に捉え直し、過去10年間にわたる社会的変化を反映させています。
『官能都市』のこれまでの歩み
2015 年に発表された前身『Sensuous City [官能都市]』は、都市の魅力を数値化する新たな指標を提案し、都市評価を進めてきました。この指標は、生活者が実際に感じる魅力と、その理由を明らかにするものでした。特に、人口減少や高齢化、パンデミック、自然災害といった社会的課題が影響を与える中、都市環境は大きく変化していることを示しています。
新たな調査の内容
『官能都市2025』では、2015年の『官能都市』のフレームを継承しながら、8つの指標と32項目からなる新たな調査が行われました。対象は、人口20万人以上の中核市で、特に1,000,000人以上の都市については地域特性を考慮しエリアを分割。実際の住民に近い生活実感をもとに、評価を行う方式を採用しています。
この調査の結果、報告書は、「自分にとって本当に幸せな都市とはどのようなものであるか」や「住んでいる都市をより魅力的にする方法は何か」を考えるきっかけを提供しています。
大都市の生活満足度は
調査によると、全体的な生活満足度は平均6.53点。中でも、東京23区が最も高く6.78点という結果です。興味深いのは、30万人未満の都市では、30.1%が「商業施設が廃れてきた」と感じているのに対し、東京23区では23.9%となっている点です。このデータは、地方都市が抱える問題を浮き彫りにしています。
魅力を失わないセンシュアスな都市とは?
調査の結果、センシュアス度の高い都市では、東京23区、横浜市、大阪市、福岡市がランキングに名を連ねています。特に、横浜市の中心エリアや東京23区の一部が他の都市よりも評価を受けていることが明らかになりました。一方で、金沢市や武蔵野市などの地方都市は評価が下がる傾向にあることも示されました。
人々の行動の変化
センシュアス度が向上した都市では、地域のボランティア活動や地元の食材を楽しむ傾向が強くなることがわかりました。これに対して、都市の活気が失われている地区では、人々の関りが減少している現象が確認されました。具体的には、地元の人々との交流や、地産地消の意識が向上することが、都市の魅力を支える重要な要素であることが示唆されています。
所長のメッセージ
LIFULL HOME'S総研の所長である島原万丈氏は、都市の評価は点数だけではなく、その都市を見る視点が重要であると述べています。また、『官能都市2025』の調査は、都市の独自性や歴史、文化がいかに人々の幸福感につながるかを探る試みであり、今後の都市開発の指針となることを期待しています。
おわりに
本研究は、今後の都市政策やコミュニティ形成に影響を与える重要な洞察を提供しており、多くの人々が都市の魅力を再認識するきっかけともなっています。今後も地域に根ざした取り組みが進むことで、より住みやすい、愛着の持てる都市が実現されることを期待したいところです。なお、本報告書は希望すれば無料で入手可能で、PDF版のダウンロードも公式サイトから行えます。