新たな取り組みとしてのサイバー精神医学講座
はじめに
近年、スマートフォンやインターネットの利用が急速に増加し、それに伴い依存症の問題も深刻化しています。特に、2020年以降のコロナ禍において、ゲーム行動症やネット依存の傾向が顕著に増加したことが報告されています。こうした課題に対処するため、KDDIと東京医科歯科大学が共同で開設した「サイバー精神医学講座」が注目を集めています。
サイバー精神医学講座の目的
この講座は、スマホやインターネット依存、ゲーム行動症といった行動嗜癖にフォーカスを当てています。特に、ゲーム行動症は2019年にWHOによって新たに疾患として認識されたものであり、社会的にその存在が理解されるまでには時間がかかるとされています。
講師の高橋英彦主任教授は、「単に依存を禁止するだけではなく、科学的かつ客観的な診断と治療法の開発が重要である」と述べ、患者やその家族が問題を自覚し、治療に向けて行動を起こすためのサポートが必要であることを強調しています。
背景と発展
KDDIとKDDI総合研究所が実施した研究によると、特にコロナ禍においては、ゲーム行動症やネット依存の認知率が従来の1.5倍以上に増加したとのことです。これは、スマートフォンやインターネットが私たちの日常生活に欠かせないものであるため、単純に利用を制限することは現実的ではないという課題を反映しています。
新講座では、スマートフォンアプリを用いたプログラム医療機器の開発を通じて、これまでの研究成果をもとにした治療法の実用化が期待されています。すでに、KDDIとの共同研究では、利用状況の記録を通じてゲーム行動症の増悪や回復のパターンが明らかになってきています。
診断と治療
現在、ゲーム行動症は公式に認定された疾患ですが、その治療法は定まっていません。こうした状況に対処するため、プログラム医療機器の実用化が進められています。最近の内閣府の「規制改革実施計画」では、プログラム医療機器の市場投入を促進する政策が盛り込まれており、これが今後の治療法開発に大きな影響を与えると考えられています。
今後の展望
共同研究を経て開設されたこの講座が、スマホやネット依存、ゲーム行動症に関する新たな知見をもたらし、より効果的な診断・治療法の実用化につながることが期待されています。東京医科歯科大学は、患者の健康を改善するためのさまざまなプログラムを提供しており、今後も研究機関や企業との連携を進めながら、依存症に関する問題解決に取り組んでいくことでしょう。
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