2024年度ストレスチェックデータから読み解く企業の健康トレンド
株式会社ドクタートラストが行った2024年度のストレスチェックデータ分析の結果、企業の健康状態に関するいくつかの重要なトレンドが明らかにされました。この調査は、267万人以上の受検者を対象に実施され、企業や団体の環境の把握に役立つ内容となっています。
調査の背景と目的
ストレスチェック制度は2015年から施行され、50名以上の従業員を抱える事業場では年に一度の定期的な実施が義務化されています。ドクタートラストでは、その開始以来、全国の官公庁や事業団体に対してストレスチェックを提供してきました。本年度もこの活動の一環として、2024年度の受検データを分析し、企業が抱える課題を明らかにすることを目的としています。
調査結果の概要
高ストレス者の増加
特に60代の高ストレス者率が増加しており、2019年度から足元で約1.9ポイント上昇し8.1%に達しています。この増加の背景には、法改正による定年延長が関与しており、新たな働き方への適応が必要となる中でストレスを抱える状況がうかがえます。同様に、若年層たちは受検者数が減少しつつあります。
職場のハラスメント
今回の調査では、職場でハラスメントを感じていると答えた人は5.5%にのぼることが分かりました。前年は5.7%であったため、若干の改善はみられるものの、依然として多くの人々がこの問題に直面している現実が浮き彫りになりました。
給与や待遇の改善
驚くべきことに、給与や報酬に関する項目では、前年度比で2.9ポイントの改善が見られ、2019年度からは8ポイント以上の改善が確認されました。物価高騰が懸念される一方で、賃金に対する意識は高まりを見せています。企業は従業員の保持と定着を図るため、報酬改善を戦略的な投資として捉え始めています。
詳細な分析結果
受検率と高ストレス者率
2024年度の受検率は過去最高の88.3%に達し、多くの企業がストレスチェックに取り組んでいることが見て取れます。ただし、依然として未受検者が約11%いる現状には、一層の対策が求められるでしょう。
年代別分析
年代別の高ストレス者率では、20代と30代は減少しているものの、40代以上の高ストレス者が増加傾向で特に60代では顕著です。高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの雇用確保が義務化される予定で、今後も60代の負担が増すことが予想されます。
今後に向けての考察
今回の調査結果が示すのは、企業が待遇面やキャリア支援に注力している一方で、労働環境におけるストレスの質が依然として多くの賃金改善に伴って悩ましい状況であることです。特に役割分担や業務負担が厳しい職場では、ストレスを軽減する努力が求められます。これからもドクタートラストは、企業と従業員のためにストレスチェックサービスを提供してまいります。
自社の健康経営を推進するためには、従業員一人ひとりのメンタルヘルスに敏感であり、積極的に環境改善に取り組む姿勢が求められます。今後もストレスチェックの重要性を認識し、理解を深めていくことが必要です。