介護業界におけるBCP策定の現状
2024年4月から、介護施設や事業所において事業継続計画(BCP)が策定されることが法的義務となりました。この法改正の背景には、自然災害やパンデミックに対する早急な対応が求められているという実情があります。しかし、NSSスマートコンサルティング株式会社が実施した介護職員に対する調査結果では、約8割がBCPの義務化を認識しているにも関わらず、実際の策定状況は思わしくありません。調査対象は1,011名の介護職員で、約6割が勤務先でBCPを策定していると回答していますが、残りの4割には策定されていない施設も含まれています。
調査結果の詳細
調査では、まずBCPに関連する研修や説明の受講経験について尋ねたところ、75.4%が何らかの研修を受けたと回答しました。ほぼ全員がBCPの重要性について理解を示しているながらも、実際には約24.6%の職員が勤務先での策定状況を把握していない結果となりました。これは、実際の業務においてBCPの具体的な内容が共有されていないことを示唆しています。
次に、「事業継続計画について不安を感じるか」という質問に対しては、約70%の職員が何らかの不安を感じていると回答しました。不安の内容は多岐にわたり、特に「災害時の避難計画が不十分である」との回答が最も多く寄せられました。
BCP策定未実施の不安と要望
BCPを未策定と回答した職員に対しての調査では、約80%が策定を希望していることが明らかになりました。その理由として最も多いのは「職員全員で意識を高めるべき」との回答(59.6%)であり、次いで「義務化されたため」という回答(34.9%)が続きました。このことから、職員の間で危機への備えが強く求められていることが分かります。
課題と改善策の提言
BCP策定に対する意識が高まる一方で、実施状況には課題が多く残されています。例えば、BCPを策定した施設でもその内容を全て把握している職員はわずか1/3にとどまります。また、運用に対する改善希望を聞いたところ、最も多かったのが「備蓄や設備の充実」であり、研修や教育の強化、そして人手の増員といった意見も多数ありました。
緊急時の実施への不安が広がる中、理想的なBCPを実現するためには、定期的な見直しや地域との連携を強化する必要があります。
まとめ
事業継続計画(BCP)は、介護業界においても今後ますます重要性が増していくことでしょう。今回の調査結果は、BCP策定と運用に向けた意識の高まりと同時に、その実施状況のバラツキや不安が多く存在することを示しています。今後は、BCPに関する教育や情報共有が一層進むことが求められています。ついては、NSSスマートコンサルティング株式会社が提供するISO22301に基づくBCP策定支援が、介護施設における安全な運営に寄与することが期待されます。