広告とインターセクション
2021-12-22 10:30:01

広告に潜むジェンダーの偏見とインターセクショナリティの重要性

広告に潜むジェンダーの偏見とインターセクショナリティの重要性



最近、UN Womenが発表した「Beyond Gender 2」という調査によると、広告に自分を見出せないという声が多く上がっています。調査の結果、特に日本では68%もの人が広告に自分の姿を見出せないと感じており、この結果は他の三国に比べても最も高い数字となっています。

インターセクショナリティとは?


インターセクショナリティは、個人やグループに適用されるさまざまな社会的属性が交差し、差別や不利益が重なる現象を指します。この考え方は、特に広告における多様性の重要性を示しており、消費者がどのようにブランドに対する親近感を抱くかに深く関わっています。

インターセクショナルな広告の必要性


調査では、インターセクショナルな属性を表現する広告が消費者のブランドに対する親近感を高めることが明らかになりました。トルコでは親近感が3.50、イギリスでは4.09、アメリカでは5.50増加したのに対し、日本ではわずか1.23の効果にとどまりました。このことから、日本の広告は消費者の実態を映し出せていないことが明らかです。

日本における広告の現状


調査に参加した日本人の多くが、広告は自分を表現していないと感じており、さらに「自分のために作られた商品を見つけにくい」と感じる人が多い中、6割が「多くのブランドが現実を反映しない伝統的なジェンダー役割を描いている」と回答しています。このような反省点は、広告業界全体に影響を与え、消費者との信頼関係を損ねる要因となっています。

ブランドへの期待と課題


さらに、日本では約48%の人が、仕事において差別や偏見を恐れています。特に、少数派としての自己表現による社会的評価に恐れを持っている人々が多いため、これは広告の表現においても変化を促す要因となるでしょう。つまり、さまざまな社会的属性を持つ人々が広告に登場することで、より多くの人々が自分を見出し、自己肯定感を高めることが期待されます。

日本支部のアドバイザーである治部れんげ氏は、「広告におけるジェンダー表現に関心を寄せる企業が増えています。このレポートを通じて、日本のビジネスパーソンが議論を深めるきっかけとなれば」とコメントしました。

広告の役割と未来


広告やメディアは社会的慣習を形成する力を持っています。したがって、インターセクショナリティを広告に取り入れることは、差別や偏見をなくし、さまざまな属性を持つ人たちが受け入れられる社会を作るために必要不可欠な進展となるでしょう。調査結果が示すように、広告にステレオタイプを取り入れることは消費者の期待を裏切るだけでなく、持続可能な社会の実現に向けての道を拓くものです。

今後、広告業界におけるインターセクショナリティの重要性がさらに広まり、多様な声や姿が表現されることを期待したいと思います。

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