春と睡眠の関係
2026-03-11 11:41:04

春の疲れに潜む「睡眠負債」と無呼吸症候群の真実

春の疲れに潜む「睡眠負債」と無呼吸症候群の真実



3月13日(金)は「世界睡眠デー」です。この時期になると、多くの人が「寝ても疲れが取れない」「日中に眠気が襲ってきてパフォーマンスが落ちている」と感じることがあります。一般には睡眠時間が不足していることが原因だとされがちですが、実は背後にある「隠れ睡眠負債」や「睡眠時無呼吸症候群」が関わっているかもしれません。そこで、春に増加する睡眠の問題について、みいクリニック代々木の院長・三島千明医師の監修のもと、詳しく説明します。

春の睡眠の質が低下する理由



春という季節は、「春眠暁を覚えず」という言葉に表されるように、身体が眠気を感じやすくなる時期です。寒暖差や環境の変化が重なることで、身体は知らず知らずのうちにストレスを受けています。具体的には、以下の要因が挙げられます。
  • - 朝晩と日中の気温差
  • - 新生活や人間関係の変化
  • - 花粉症による鼻づまり
  • - 日照時間の変化

このような要因が重なり、自律神経が想像以上に活発に働いています。本来、夜になると副交感神経が優位になり、スムーズに眠りにつく準備が整います。しかし、日中の緊張感や気温差の影響が残ると、夜の切り替えが難しくなり、眠りは浅くなってしまいます。

三島医師は「睡眠はスイッチのように簡単にオン・オフできるものではありません。体温が低下し、自律神経が切り替わり、脳が“安心した”と感じることで眠りに入ります。春はそのバランスが崩れがちな季節です」と指摘しています。また、花粉症によって鼻づまりが発生すると、自然と口呼吸を引き起こし、気道が塞がれやすくなります。これも睡眠の質に悪影響を与えます。

“隠れ睡眠負債”について



一般的に「睡眠負債」とは、慢性的な睡眠不足が続くことを指します。しかし、最近注目されているのが「隠れ睡眠負債」です。これは、睡眠時間は確保していても、実際には体が回復していない状態を指します。たとえ眠っていても、深い眠りの時間が不足していれば、身体や脳の修復は行われません。その結果、毎日の疲労が蓄積し、体調やパフォーマンスに悪影響を及ぼすのです。これが隠れ睡眠負債です。厚生労働省も『健康づくりのための睡眠ガイド2023』において、「睡眠での休養が足りているか」という質に注目することの重要性を指摘しています。

睡眠時の呼吸状態が影響する



「眠っているつもりなのに疲れが取れない」その背景に、睡眠中の呼吸の場合に問題が潜んでいる可能性があります。三島医師は「日中の眠気の強さやいびきが気になる場合、睡眠時無呼吸の可能性を考える必要があります」と警鐘を鳴らします。 睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、上気道が狭くなり、呼吸がストップまたは減少する状態が断続的に続く病気です。これが原因で血中の酸素濃度が低下し、脳が瞬間的に覚醒してしまいます。本人は眠っているつもりでも、実際には何度も目覚めている状態で、これは眠りの質を大きく損ないます。これが隠れ睡眠負債の原因になります。特に日本人は下顎が小さいため、肥満がなくても無呼吸が起こりやすいことが特徴です。悪化することで、高血圧や心不全、糖尿病といったリスクが増大します。

女性特有の「見えにくい無呼吸」と更年期



睡眠時無呼吸症候群は男性に多い病気と思われがちですが、実は女性も影響を受けます。しかし、女性の場合はいびきが少ない、もしくは浅い呼吸が繰り返されるため、周囲から認識されにくいことがあります。この「見えにくい無呼吸」は、次のような別の不調として現れること留意が必要です。
  • - 朝の頭痛
  • - 疲労感
  • - 抑うつ気分や不安
  • - 入眠の困難や浅い眠り

これらの症状は更年期の不調と重なりやすく、「年齢のせい」「ホルモン変動のせい」と受け止めがちです。しかし、三島医師は「年齢のせいと言い切ってしまうのは危険です。呼吸の問題が隠れているかもしれません」と警告します。更年期には女性ホルモンが大きく変動し、呼吸をサポートするホルモンが減少することで、気道が狭くなることがあります。このため、40代以降でいびきや日中の眠気を経験する場合は、年齢だけでは片づけず、睡眠の質や呼吸状態を見直す価値があります。

睡眠は医療の一部



睡眠は生活の質に大きな影響を与える要因とされています。最近、睡眠医療の重要性も高まってきており、必要に応じて治療を受ける領域として評価されています。日本睡眠学会も、睡眠障害の診療を受けやすくするため、「睡眠障害」を医療法上の診療科として追加できるように厚生労働省に要望を出しております。今後、内科や耳鼻咽喉科で相談可能になることが期待されます。

睡眠改善のアドバイス



三島医師が勧める睡眠の質を向上させるための簡単なポイントは次の通りです。
  • - 今日から自分の睡眠を否定せず、整えていくこと
  • - 朝日を浴びて体内時計を整える
  • - 朝食を摂り、1日のリズムを始める
  • - 就寝90分前にぬるいお風呂に入る
  • - 寝る前はスマホの画面を避ける
  • - ストレッチやハーブティーで心を安定させる

まとめ



春は変化が多い季節です。「世界睡眠デー」をきっかけに、睡眠時間だけでなく、「しっかりと回復できているか」を再考してみてください。隠れ睡眠負債は、将来の健康に影響を及ぼす可能性があるため、早めに気づき、必要な場合は医療に相談することが重要です。これが、明日のパフォーマンスや健康的な日々の礎となります。

著者について


三島 千明/みいクリニック代々木 院長
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医であり、総合診療医として地域医療に取り組んでいます。CBD専門外来を設け、睡眠の悩みなどに対するアドバイスも行っています。


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株式会社スピック
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