坂東玉三郎が語る「お話と素踊り」の魅力
2021年7月から始まった公演『坂東玉三郎~お話と素踊り~』は、全国各地で数々の観客を魅了してきた人気の公演です。コロナ禍の影響を受けながらも、満席の観客と共に回数を重ねるこの公演は、単なる演技を越え、観客との交流を大切にするスタイルが注目されています。
公演の構成と内容
公演の基本的なプログラムは、トークコーナーと地唄舞『残月』の素踊りという二部構成。観客から事前に募集した質問に答えながら、歌舞伎の魅力や自身のプライベートに関する話を交え、映像も用いてお話しします。その後、素顔で舞う“素踊り”が披露され、普段の歌舞伎とは一味違った玉三郎の姿を見ることができます。
玉三郎自身は「素顔で大丈夫か」と最初は不安を覚えたものの、満席の観客からの反応に支えられ、純粋に楽しんでいただけることを実感したと語っています。特にお客様が直接触れ合いたいという時期に、こうした公演が喜ばれる理由を、玉三郎は感じ取ったのでしょう。
地域ごとの反応と魅力
公演は北海道や九州など多様な地域を巡り、それぞれの地での受け入れられ方も異なります。玉三郎は「お客様の雰囲気によって話す内容も変わることがある」と語り、土地の特色やお客様の関心に応じて、柔軟に対応する姿勢を示しています。また、コロナ禍により舞台に立つことが難しかった時期の中で、お客様と直接会えるその喜びを強調しました。
“素踊り”の難しさと魅力
歌舞伎では通常、扮装をして舞うことが多い中での“素踊り”は、実際に自分のすべてをさらけ出すことになるため、緊張感も伴います。玉三郎は、昔は多くの人が“素踊り”を踊っていたが、最近はその機会が少なくなっていることから、観客にとっては珍しい体験であると語ります。
今年も、1月に大阪や南座で演じられる『残月』を巡る中で、その魅力や選ばれた理由についても述べています。経緯として、2年間『雪』を踊った後に替えた演目。『残月』は深みがあり、清涼感のある優れた楽曲であり、五段ある曲を三段に縮めて舞う計画だそうです。
トーク内容と舞台裏
トークコーナーでは、観客からの質問も取り入れつつお話しをしている玉三郎。健康法や稽古の様子を映像で共有することにより、より密接な関係を築いています。特に、トークでは最新の訪問先であるギリシャの様子を含めた映像も予定されており、観客の興味を引きつける内容が期待されています。
地方ツアーの中での公演についても、玉三郎は「感謝の気持ちを込めて全力で舞台に立つ」とし、自身を必要としてくれる観客への感謝も表現。観客の期待に応えるべく、どこに行っても変わらない方針で、自由に受け取ってもらえるように務める姿勢が印象的です。
公演情報
今年の公演は、南座や相模女子大学グリーンホール、和光市民文化センターなど、各地での上演が予定されています。どの会場でも、玉三郎の独自の世界観を味わえる貴重な機会となります。
公演を通じて、歌舞伎の新たな魅力と玉三郎の素顔に触れることができる『坂東玉三郎~お話と素踊り~』。観客との触れ合いや、舞台の裏側、そしてパフォーマンスの真髄に迫ります。