アラヤとOISTが共同開発した光学神経画像解析ツール『OptiNiSt』
2025年5月19日に、株式会社アラヤと沖縄科学技術大学院大学(OIST)の神経計算ユニットによる共同開発の成果『OptiNiSt』に関する研究論文が、PLOS Computational Biology誌に発表されました。このツールは、神経科学の分野において光学的神経活動の記録と解析に特化しており、研究者たちの新たな武器となることが期待されています。
開発の背景
近年、神経科学研究の進展に伴い、カルシウムインジケーターや光学技術の進化が進んでいます。それにより、神経の活動を光学的に記録することが一般的となり、得られるデータも急増しています。しかし、そのデータ量の増加と解析手法の多様化から、データ解析のパイプラインは非常に複雑になっており、解析の信頼性や再現性に関する課題が浮き彫りとなっています。
複数段階にわたる解析が必要なため、各ステップでの正確なチェックが求められます。そして、多数のアルゴリズムを比較しながら最適な解析パラメータを見つけることは容易ではありません。これまでの解析パイプラインは、試行錯誤の中で構築されてきましたが、その管理は煩雑で、エラーが入り込みやすい現状があります。
これらの課題を解決するために、OIST神経計算ユニットの共同研究者たちが『OptiNiSt』の仕様を策定し、日本医療開発機構(AMED)の支援を受けてアラヤがプログラムを実装しました。本ツールはオープンソースソフトウェアで、多くの研究者が利用可能です。
OptiNiStの特長と効果
論文では、実際にツールを用いたデータ解析例を紹介し、OptiNiStの有用性を詳細に示しています。以下に主な特長を挙げます。
1.
データ解析の信頼性向上:
ステップごとの可視化機能が搭載されているため、解析結果の信頼性が大きく向上します。
2.
解析時間の短縮:
直感的な操作性とモジュール式の設計により、解析にかかる時間を大幅に短縮することができます。
3.
再現性の確保:
解析パイプラインを保存・共有する機能があり、同じ解析方法を他の研究者と再現しやすくなっています。これにより、データの公開や他者との解析方法の共有もスムーズです。
具体的な成果
論文には、OptiNiStを用いて得られた解析結果が具体的に示されており、手法の効果が実証されています。特に、以下のような結果が得られました。
- - GUIベースのインターフェイスにより、プログラミングの知識がなくても使いやすい環境が整っています。
- - 単一のデータを使って複数の解析手法に基づく結果表示が可能です。
- - 解析したデータは記録され、再現性の担保に貢献しています。
ダウンロード情報
OptiNiStは無料でダウンロード可能です。興味のある方は、以下のリンクからアクセスしてみてください。
企業情報
株式会社アラヤは、最先端のAI技術と神経科学の知見を組み合わせ、さまざまな業界で事業を展開しています。同社は、研究者が本来の目的である「発見」と「創造」に集中できる環境を整えるために、リサーチDXという研究者支援ソリューションを立ち上げました。これにより、日本の研究競争力の向上と、科学の進展に貢献することを目指しています。
詳しい情報は、こちらのリンクからご覧ください:
アラヤ公式サイト
OISTについて
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、2011年に設立され、世界の科学技術の発展に寄与することを目指しています。国内や国際的に優れた研究者を招き、世界屈指の研究拠点を形成することを目的としています。OISTは、学際的な研究を進めることで新たな科学的知見の探求を行い、次世代のリーダーを育成する使命を担っています。