AIとテクノロジーが変える薬局業界の未来
2024年に向けて、株式会社corteと医療ヘルステックのリーディングカンパニーである株式会社メドレーが資本業務提携契約を締結したことが発表されました。この提携によって、調剤薬局業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速することが期待されています。
提携の背景
昨今、日本国内の薬局には多くの課題が存在します。特に薬剤師の業務負担の増加や、人材不足は深刻な問題となっています。このような背景から、薬局では業務効率化と服薬指導の質を同時に向上させることが求められています。薬剤師の役割は単なる調剤にとどまらず、患者とのコミュニケーションや地域医療への貢献にも広がっています。
corteは、音声認識と生成AIを活用した薬歴作成支援サービス「corte」を2024年5月にリリース予定で、既に2,000店舗以上で導入が進んでいます。このサービスにより、薬剤師は患者の会話を自動で記録し精度高く薬歴を作成することが可能になります。一方、メドレー社は次世代医療プラットフォーム「MEDLEY AI CLOUD」を展開し、医療業界におけるAI活用を推進しています。
提携の具体的な内容
今回の資本業務提携を通じて、corteとメドレーは次のような具体的な取り組みを行います。
1. 医療プラットフォームの連携強化
「MEDIXS」にcorteを統合することで、音声認識や生成AIを活用した薬歴の自動作成機能が強化されます。これにより、薬歴作成にかかる時間を短縮し、医療記録の質を向上させることが可能になります。
2. 営業連携と導入支援
メドレーの薬局ネットワークに対し、corteのAI活用を普及させるための営業支援を行います。全国約17,000件の薬局に向け、実際の現場に寄り添った細やかな導入サポートを提供します。
3. 薬局DXエコシステムの構築
さらなるオープン連携を進め、他の企業と協力しながら、調剤薬局業界の業務効率化と患者の体験向上に貢献します。
提携による効果
提携により、以下のような効果が期待されます。
- - 業務効率化:SOAP形式での薬歴作成を自動化し、記録時間を大幅に短縮。
- - 品質向上:記録の統一化により重要情報の抜け漏れを防止。
- - 多様なデバイス対応:PCやスマートフォンを通じて、どこでも利用可能。
- - コスト削減:負担が軽減されることで人件費や運用コストを最適化。
- - 職場環境の改善:業務負担の軽減が職場環境改善と離職防止に寄与。
今後の展望とコメント
メドレーの代表、瀧口浩平氏は「医療業界では深刻な人材不足が続いており、われわれは部門間の壁を超えて連携することを重視しています」と述べ、corteとの協業への期待感を表明しました。
一方、corteの升澤裕介氏は「この連携を通じて、薬剤師が患者ともっと豊かに関わることができる時間を創出したい」と語っています。
両社は今後もAI技術の進化に応じて、調剤薬局向けソリューションの拡充を目指し、業務効率化や患者体験の向上に取り組む方針です。薬局DXの新たなスタンダードを築くため、さらなる連携と共創が期待されます。