中古自動車は「10年10万km」は古い?
中古自動車の市場は、購入基準が変わりつつあることが分かる調査結果が発表されました。埼玉県中古自動車販売商工組合が行ったこの調査は、一般ユーザーの中古車購入意識と自動車整備士の専門的視点を交え、現代の中古車市場を見つめ直す重要な資料となっています。
調査結果の概要
調査では、中古自動車を保有している一般ユーザー1,011人と自動車整備士を対象に、「中古自動車の購入と販売に対する意識変化」が取り上げられました。この調査によって、一般ユーザーと整備士の意識にはどのような差があるのか、またどのように変化しているのかが浮き彫りにされました。
10年以上の車が多数
調査結果によると、約35.1%のユーザーが現在保有する自動車が初度登録から10年以上経っていることが明らかになりました。これは、従来ならば10年を超えると買い替えを検討する時期とされていたことを考えると、所有期間の長期化が進んでいる証拠です。自動車の性能やメンテナンス技術が向上したことで、長期利用が一般化していることが背景にあると言えるでしょう。
また、走行距離に関しても21.8%が「10万km以上」という結果が出ており、「距離よりも状態」を重視するユーザーが増えています。整備や保証制度の発展が、この傾向を支えているとも考えられます。
購入基準の変化
調査を通して、「10年10万km走行」という条件について半数以上が妥当だと答えた一方で、過去の中古自動車に対する印象との違いも見えてきました。68.7%のユーザーが「整備されていればまだまだ乗れる」と考え、耐久性が向上した現代の車に対して安心感を抱くようになっています。
購入時の重視ポイントに関しては、価格(84.2%)、走行距離(74.7%)、年式(59.2%)が挙げられました。特に価格や走行距離が重視される一方で、状態の可視性への関心も高まりつつあることが示され、ユーザーが「安心できる条件」を求めている様子が窺えます。
整備士の視点から見た長期利用
整備士の意見では、10年10万kmを超えても適切なメンテナンスによって安全に運転できるとの見解が多く、特に「早期発見と早期対処」が重要とされています。また、自動車の性能向上も踏まえ、「整備されていれば増々乗れる」という意見が支えられています。
整備士たちの回答からは、なんと90%以上が「しっかりとした整備が行われれば長期利用が可能」と答えており、その理由には劣化の早期発見や摩耗の進行を抑えることが挙げられました。
中古車市場に求められる透明性
中古車購入の安心感を得るためには、ユーザーや整備士の双方が「透明性」を求めています。一般ユーザーは、保証や整備体制の充実、車両の履歴がわかりやすく開示されることを重視しており、整備士も同様に開示される情報のわかりやすさを求める傾向が見られました。
今後、中古車販売業界では、整備履歴や状態の見える化、長期保証や第三者機関による車両検査の導入が期待されます。これらは、中古自動車を安全に長期間利用し続けるための施策として求められています。
結論
この調査から、中古自動車に対するユーザーの意識が「価格中心」から「安心中心」へとシフトしていることが分かります。整備士の技術と、販売店の透明性ある情報提供が合わさることで、中古自動車市場はより信頼性のある社会へと進化していくでしょう。・埼玉県中古自動車販売商工組合 JU埼玉の取り組みにも注目し、より良い中古車選びの参考にしてみてください。