KORG Berlinが3Dプリンターで音楽製作の新時代を切り開く

近年、音楽業界はデジタル制作が中心となってきましたが、アナログ楽器の魅力を再評価しようとしているのがKORG Berlinです。このチームは、音楽体験を革新するための新たなプロトタイピング手法として、Formlabsの最先端の3Dプリンターを用いることで、物理的な楽器の価値を見出す試みに挑戦しています。

KORG Berlinの背景と挑戦

KORG Berlinは、世界的な楽器メーカーであるKORG INCの子会社として、独自のアプローチで音楽製作に取り組んでいます。デジタルツールの普及が進む中、彼らはアナログ楽器が持つ操作感や細部にこだわりながら、新しい音楽体験を創出しようとしています。特に、顕著な例がSuperbooth2023で発表された「Acoustic Synth Phase5」です。この楽器は、音叉を音の発生源として磁場で音を操るという、これまでにない独自の設計が求められました。ここで重要なのが、迅速で高精度なプロトタイピングであり、KORG BerlinはそれをFormlabsの3Dプリンターによって実現しました。

Formlabs 3Dプリンターの利点

FormlabsのSLA 3Dプリンターを使用することで、KORG Berlinは納期やプロトタイプの質に大きな改善をもたらしました。特に、Form 3+モデルが提供する高い精度は、アナログ楽器の制作に最適であり、複雑な形状を持つ部品でも、精密に作成することが可能です。

KORG Berlinは、さまざまなレジンに対応しており、用途に応じて最適な素材を選べるため、柔軟な開発が実現しています。音叉を支える小さな部品には、Grey Pro Resinを使用し、小さく複雑な形状を持つパーツも、Formlabsの設備で正確かつ低コストで迅速に作り出されています。また、PreFormというソフトウェアを使うことで部品配置やサポート構造の最適化が自動化され、初心者でも簡単に高品質なパーツが製造可能です。この結果、チーム全体がプロトタイプ製作に参加しやすくなり、開発の進行が加速しています。

90%の納期短縮を実現

KORG Berlinは、Formlabsのテクノロジーを駆使することで、プロジェクトの開発スピードを大幅に向上させることに成功しました。以前、外部への発注に3～4日かかっていたリードタイムが、3Dプリンターを用いることでわずか数時間に短縮され、なんと90%もの納期削減を達成しました。このスピードは、アイデアを迅速に形にし、テストや改善を続ける上で非常に重要です。

未来への展望

KORG Berlinは、これらの技術革新を通じてアナログとデジタルの融合を実現し、今後の音楽製作の可能性を広げていく意向を示しています。KORG Berlinの取り組みは、創造性が一瞬のひらめきに左右される音楽製作の現場において、即応性の高いプロトタイピングの重要性を際立たせています。彼らはAcoustic Synth Phase5のような革新を今後も生み出し続けることで、音楽未来の新たな扉を開いていくでしょう。