細胞培養魚脂肪によるオメガ3原料の実用化－東洋製罐がシンガポール企業へ出資

細胞培養魚脂肪によるオメガ3原料の実用化

最近、東洋製罐グループホールディングス株式会社がシンガポールのスタートアップ企業、ImpacFat Pte. Ltd.に出資したことが話題になっています。この出資は、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚の脂肪を細胞培養で生産する技術の確立を目指すもので、同社が持つ先進的な研究開発能力を利用し、食品やサプリメント、コスメティクス市場向けの機能性原料の実用化を加速させることが期待されているのです。

ImpacFatの革新性

ImpacFatは、2022年に設立された会社で、シンガポールの国立研究機関A*STARから独立した研究チームが中心に運営しています。この企業は、ウナギやパンガシウスなど特定の魚種の脂肪細胞を培養し、安定的にオメガ3脂肪酸を生産する技術を開発しています。オメガ3脂肪酸は、健康維持や美容、さらに抗炎症作用のある成分として注目されています。ImpacFatの目標は、「最も健康的で美味しい魚の脂を持続可能な方法で世界中へ届ける」ことです。

ImpacFatの技術は、従来の漁業による資源に依存しないため、持続可能な方法での食品供給を実現する可能性を秘めています。これにより、環境問題への配慮も図られており、新しい市場の開拓に貢献することが期待されています。

出資の背景と今後の展望

東洋製罐グループは、2020年以降、新しい食品開発や次世代バリューチェーンの構築を目指しており、ImpacFatとの出資はその一環です。細胞ベースの食品技術は急速に進化しており、当社が事業機会を模索する中で、ImpacFatは最適なパートナーであると判断されました。

今後、原料開発や製品化検討、さらにはサプライチェーンの設計といったさまざまな分野でImpacFatとの協業を深めていく予定です。今回の出資は、シンガポールにおける細胞性食品の投資としては二件目となり、前回のShiok Meats Pte. Ltd.との経験を生かし、細胞培養魚脂肪原料の商業化を加速させる役割を果たします。

OPEN UP! PROJECT

さらに、東洋製罐グループは「OPEN UP! PROJECT」というオープンイノベーションプロジェクトを2019年から開始しました。これは、100年以上の歴史の中で培った容器技術を活用し、社会問題の解決に挑むものです。このプロジェクトにより、持続可能な未来を目指し、さまざまな革新的なアイデアが生まれることが期待されています。

東洋製罐グループの概要

東洋製罐グループは、金属、プラスチック、紙、ガラスの容器をグローバルに提供する包装容器メーカーです。包装事業に加え、エンジニアリングや物流、鋼板関連、機能材料関連、不動産関連など、多岐にわたる事業を展開しています。2021年には「長期経営ビジョン2050」を策定し、社会および環境への配慮を強化し、ステークホルダーに提供する価値の最大化を目指しています。

このような取り組みを通じて、東洋製罐グループはより良い未来を築くためのパートナーシップを進め、さまざまな領域でのイノベーションを推進しています。