環境に優しい次世代素材、ダブルドット接着芯の誕生
最近、ファッション業界における環境配慮が高まっている中、Bioworks株式会社と日東紡アドバンテックス株式会社が共同開発した「ダブルドット接着芯」が注目されています。この新しい接着芯は、ポリ乳酸を主原料とした植物由来の新素材「PlaX」を用いており、環境への影響を大幅に削減することが期待されています。
PlaXフィラメントの特性とその価値
「PlaX」とは、サトウキビなどの植物由来の原料を使用したバイオマス素材で、環境への優しさが特徴です。この素材を用いた接着芯は、従来の素材と比べて大幅にCO2の排出を削減する効果があります。具体的には、長繊維の製造にかかるCO2の排出量を約70%削減し、短繊維(原綿)でも50%削減できることが実証されています。水の使用量も綿と比較して90%減少し、廃棄時にはダイオキシンなどの有害物質を発生させることもありません。
開発背景と技術的な挑戦
この「ダブルドット接着芯」の開発は、2022年から始まりました。Bioworksと日東紡アドバンテックスは、最初にスパンタイプの接着芯を開発し、その後フィラメントタイプへのニーズが高まる中で、新しく75デニールのPlaX100%フィラメントを完成させました。フィラメントの製造には、原料の粘度や繊維の均一性といった厳格な管理が求められます。ポリ乳酸の特性を考慮しながら、Bioworksが持つ先進的な開発技術によりこれをクリアし、高品質なフィラメントを実現しました。
接着芯の役割と環境への影響
接着芯は、衣料品の形状を保ち、強度を増す重要な副資材です。近年、植物由来の素材が多く取り入れられる中で、接着芯においてはまだまだ石油由来の素材が主流です。その状況を打破するため、Bioworksの「PlaX」を用いた接着芯が、ファッション産業の脱炭素化や資源循環に寄与することが期待されています。特に、薄く軽量なフィラメントタイプは、デザイン性重視の製品にも適用しやすく、広範な用途に対応可能です。
今後の展望
今後も両社は協業を通じて、持続可能な副資材の開発を進めていく意向を示しています。これにより、ファッション業界が求める環境負荷を抑えた素材の導入が進むことでしょう。PlaXの特性を活かした新しい接着芯が、多くの衣料品に使用される日も近いと言えます。
まとめ
Bioworksと日東紡アドバンテックスが共同開発した「ダブルドット接着芯」は、環境への配慮と新しい価値提案を持つ素材です。今後、このような植物由来の資材の普及が進むことに期待が寄せられています。ファッションが持つ力を利用し、持続可能な社会の構築に向けて、一歩前進したと言えるでしょう。